google.com, pub-2132796719425109, DIRECT, f08c47fec0942fa0 心に残る中国映画セレクション100: 2017

2017年12月28日木曜日

台湾映画:「あの頃、君を追いかけた」柴智屏(アンジー・チャイ)

「あの頃、君を追いかけた」



これはいいという中国の映画を探しておすすめするサイト「心に残る中国映画セレクション100」がお贈りする今回は台湾映画「あの頃、君を追いかけた」をお贈りします。

あの頃、君を追いかけた

こんにちは! 
今回は台湾の映画を紹介します。
今回は台湾映画「あの頃、君を追いかけた」をお贈りします。


映画の紹介
ばかばかしい青春の映画です。ここに出てくる少年たちは、ばかばかしい騒ぎを繰り広げるが、未だ純情な雰囲気を残しているところがまたいい。自分の時と比べ、これほどばかばかしい事はしていないが、レベルから言うと似たようなもんだねという感じ。


映画データ
製作年: 2011年
製作国: 台湾
原題: 那些年,我們一起追的女孩/You are the apple of my eye.

監督: ギデンズ・コー
製作総指揮: 柴智屏(アンジー・チャイ)
出演: クー・チェンドン(主演) 、ミシェル・チェン(ヒロイン) 、スティーヴン・ハオ 、イェン・シェンユー 、チュアン・ハオチュアン 、ツァイ・チャンシェン 、フー・チアウェイ 、イエン・ションユー

ストーリー
ストーリーといえるようなものはない。ドタバタ劇の青春映画で、しかし何処か憎めない、明るく楽しい。最後はごく普通の大人に成長していくのもまたいい。「それほど心配せんでもいいんだな」と安心できる。


背景と見どころ
原題は日本語訳そのもの。英語題は、なるほどこういう言い方もあるのかという感じ。



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2017年12月27日水曜日

「中国映画館」金城武、周迅の主演でお贈りするラブ・ミュージカル

ウインターソング

こんにちは!
中国百科映画館がこれはいいという中国の映画を探しておすすめするサイトです。
今回は異色のラブ・ミュージカル中国映画「ウインターソング」をお贈りします。


映画の紹介
この映画は、これまでの中国映画とは異なる異色ともいえる映画です。非常に感覚的、映像を重視した映画で、これが中国映画かと見直しました。


映画データ
製作年: 2005年
製作国: 香港
原題: PERHAPS LOVE/如果・愛

監督:陳 可辛(ピーター・チャン)
出演:金城武、周迅


ストーリー
ミュージカル・ラブ・ストーリー


背景と見どころ
特にストーリーは感じなかった。やはりラブ・ミュージカルとして楽しむべし。みどころは、ミュージカルと映像の美しさだ。上海を再現したセットで繰り広げられる、ラブ・ミュージカル。周迅がやはり光っている。実に可愛い。彼女は徐静蕾(シュー・ジンレイ)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)、章子怡(チャン・ツィイー)と並んで4大女優と称される。



2017年11月24日金曜日

中国映画「無言歌」:当時国内にあった封建残渣との思想闘争が必要であったのは分かるが、これは闘争ではなく思想弾圧だ。

中国百科映画館 「無言歌」

近代中国が犯した誤りは?残っているのは『人間不信』だけ!

「右派」のレッテルを貼られた人々が、
砂漠の労働改造所の中で人間性を
そぎ落とされつつも上げる悲痛な生の叫び
 とにかく凄まじい映画であった。中国の砂漠の中の収容所での人間性をそぎ落とした生活を強いられた人々。彼らがどのように生き、どのように死んでいったかをドキュメンタリー風のタッチで、追い求める。

 朝鮮戦争が終わって間もない中国で、「百花斉放・百家争鳴」(あわせて「双百」とも言う。)が唱えられた。呼びかけに応えた人々が辿った過酷な運命。予想外の反発に驚いた毛沢東は、発言者に「右派」のレッテルを貼り糾弾した(「反右派」闘争)。

 この物語は、この「右派」のレッテルを貼られた人々が、甘粛省の砂漠の「収容所」の中で、虫けらのように命を落としていった物語である。

 今回は中国国内では公開されない、近代中国の恥部を告発したドキュメンタリー映画をご紹介します。

 とにかく今まで見た映画の中で、とりわけ衝撃的で、言い表しようのない想いでこれを書いています。


映画の紹介
 この映画の舞台は、中国甘粛省の砂漠の中の夾辺溝というところの収容所である。

 砂漠の中に掘られた穴倉の中に詰め込まれ、薄い粥だけが支給され、過酷な労働の中で、心身ともにぼろぼろになっていく。空腹のために、砂漠に生える草を食べ、ねずみを捕まえ食糧にする、死んだ仲間の肉をそぎ落として食べることまで密かに行われる。

 そのような中でも、多くの人たちは、獣に成り下がることとなく、僅かに残った人間性を保っている。逆に、私は「人間ってすごいな」と思う。

 映画は、そのような人々を、残酷なまでに描き出していく。決して面白可笑しい映画ではないが、時には見てほしいと思う。


映画データ
日本語題:『無言歌』(むごんか、原題:夹边沟、英語題The Ditch)
監督:王兵 2010年の香港・フランス・ベルギー合作の映画。


ストーリー
この映画にはストーリーはない。ストーリーが描けるような生易しいものではない。


背景と見どころ
 1950年代後半、中国国内で社会の不満が噴出していたことに、指導者の危機感を高めた。

 毛沢東は、人民内部の矛盾を解消するため、一種の「ガス抜き」の方策として「百花斉放・百家争鳴」(双百)を打ち出し、広く大衆の意見を求めた。 当時は、2000年も続いた、専制君主の支配からようやく抜け出し、辛亥革命を経て、内戦を経て、まだそれ程も経っていないじきである。国内には封建残渣が色濃く残り、ようやく統一国家として歩みだそうというときである。外部には資本主義国が手ぐすねを引いて、封じ込めを狙っている重要な時にあった。国家として一致団結をして進まねばならないときにあって、指導者としてセル気持ちは十分にわかる。 そこまではまだいい。結果的に人々をだましたことである。これによって、共産党に権威を地に落とし、言いようのない不信感を植え付けてしまった。やむを得ないといえばそういう側面もあるが、もう少し何とかならなかったか。ある種のもどかしさを感じる。中国の懐の深さはどこに行った?

 この映画は、この「双百」に呼応して声を上げた知識人達の受難の物語である。




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2017年9月8日金曜日

中国映画「宋慶齢の生涯」:中国の命運を決定付けた荘家の三姉妹!

中国映画「宋慶齢の生涯」:中国の命運を決定付けた荘家の三姉妹!

映画の紹介
宋慶齢の生涯:心に残る中国映画セレクション100
宋慶齢


 今世紀初頭の中国で、長きにわたって中国を支配してきた清朝は断末魔のうめきを立てながら、苦しんでいた。時代の奔流は、仲の良い三姉妹を、国をも引きちぎってゆく・・・・・。辛亥革命、西安事件、日中戦争、国共内戦・・・彼女たちは愛し、傷つき、苛酷なまでの運命に翻弄されながらも、激動期を生き抜く。この時代は生きていることだけでも、すごい時代であった。


映画データ
  • ジャンル:ドラマ, アジアの映画 
  •  監督:メイベル・チャン 
  •  主演:マギー・チャン, ミシェール・ヨー, ヴィヴィアン・ウー, ウィンストン・チャオ 
  •  助演俳優:ウー・シングォ, チャン・ウェン, エイレン・チン, ニウ・チェンホワ
ストーリー
20世紀前半、中国の清王朝から中華民国へと移り行く時代の流れの中で、古い因習にとらわれずに育てられた宋家の三姉妹。アメリカ留学から帰国した彼女たちは、それぞれに全く異なる道を歩むこととなる。長女(ミシェル・ヨー)は財閥の御曹司、次女(マギー・チャン)は後の国家主席・孫文、そして三女(ヴィヴィアン・ウー)は国民党の指導者・蒋介石のもとへそれぞれ嫁いでいく。そして孫文の死後、夫の革命の遺志を継ぐ次女は長女・三女と対立するようになり、姉妹のきずなに溝が生じていく……。それでも孫文の存命中は、未だ絆は壊されずに残っていた。
 しかし、孫文が死ぬや否や、待っていたかのように蒋介石が反旗を翻す。このことからも、孫文がこの時代の最大のキーマンであった。孫文の死後孫文の遺志を守ろうとする宋慶齢は蒋介石とともに歩もうとする長女、三女と対立は深まっていく。そして、日本帝国主義を中国から放逐した後、国共内戦の中で、宋慶齢と姉妹達の対立は決定的なものになる。



背景と見どころ
映画としてより、歴史参考書的な読み物としてみれば面白い。この映画のなかの三姉妹の間の対立は、中国の当時の路線の対立をそのまま反映したものであり、三人の国家・大衆に対する態度でその路線の違いが浮き彫りになっている。



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2017年8月21日月曜日

「再開の食卓」:第6世代の王全安が贈るベルリン国際映画祭の受賞作品

再会の食卓

第6世代の王全安が贈るベルリン国際映画祭の受賞作品、戦争に翻弄された庶民の生活を描いた中国映画「再会の食卓」
台湾海峡を隔て、引き離されて40年、新婚の夫婦の再会。失った年月は取り戻せるのか? また取り戻すことに意味があるのか?二人がそれぞれに悩んで導き出した結論は?


映画の紹介
 引き離されて40年、新婚1年の夫婦の再会。果たしてタイムカプセルのように失った時間を取り戻せるのだろうか。ベルリン国際映画祭の受賞作品。主演の女優、その現在の夫、いぶし銀の如くしぶい光を放つ。決して光りすぎずかといってくすんでもいない。

映画データ
製作年:2010年
製作国:中国
原題:APART TOGETHER

出演:リン・フォン 、 リサ・ルー 、 シュー・ツァイゲン 、 モニカ・モー
監督:ワン・チュアンアン(中国名:王全安)

監督:ワン・チュアンアンについて
ワン・チュアンアン(中: 王全安, 1965年10月16日 - )
中国映画界の「第六世代」の監督として知られる。
生まれ: 1965年 · 陝西省
配偶者: キティ・チャン (2011年 年結婚)
学歴: 北京電影学院
映画: 再会の食卓 ·トゥヤーの結婚
ストーリー
 上海で暮らす玉娥(ユィアー)一家に、台湾で暮らす玉娥の元国民党軍兵士の元夫・燕生(イェンション)訪中団の一員として尋ねてくる。建前は、儀礼的なものだが、本音は玉娥を台湾につれて帰ること。
 台湾で暮らす燕生は妻を近年亡くし、一人さびしく暮らしていた。昔上海で戦争の混乱の中で引き離された妻の玉娥のことが忘れられない。
 玉娥と燕生は昔生活した場所などを一緒に訪ねるうちに玉娥は過ぎし日を取り戻し、燕生と共に台湾に渡ることを夢見るようになる。しかし、一方では、現在の夫・善民(シャンミン)と子どもたちとすごした40年間を白紙に戻すことが出来ないでいた。
 40年の月日の経過は、そんなユィアーの家族たちにとっても、イェンション自身にとっても重苦しくのしかかる。
 夫・善民は寂しさを抱えながらも、妻の幸せを願い、妻を台湾に送り出そうとする。
 燕生は玉娥とその家族との話し合いを粘り強く重ねるうち、ある結論にたどり着く。


背景と見どころ
 いろんな事情で引き離された夫婦であっても、現実に過ぎ去った期間を簡単には消し去ることは出来ない。自分自身の思い、子供たちの想い、思惑、社会制度上の制約など等。

 三人が下した結論ではあるが、それに委ねるしか他に道はない。それにしても、夫婦愛を見事に浮かび上がらせた作品は素晴らしい。




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2017年8月20日日曜日

Best Kid:ジャッキーチェンがジャッキーの殻を捨てた 少年を通してカンフーを見直す映画

ベスト・キッド

こんにちは! 中国百科映画館がカンフーファンにおすすめの映画「Best Kid」
今回は中国映画ではないが、中国を舞台としているので中国映画として取り扱います。「ベスト・キッド」をお贈りします。

映画の紹介
母と2人で北京住むことになったアメリカ人の少年が、カンフーの達人の師匠との出会いを通じて成長し、やがてはいじめを克服していく姿をさわやかに綴る。主人公の少年役にはジェイデン・スミス、師匠役にジャッキー・チェン。

映画データ
製作年: 2010年
製作国: アメリカ
原題: THE KARATE KID
監督: ハラルド・ズワルト
製作: ジェリー・ワイントローブ 、 ウィル・スミス 、 ジェイダ・ピンケット=スミス 、 ジェームズ・ラシター 、 ケン・ストヴィッツ
製作総指揮: ダニー・ウルフ 、 スーザン・イーキンズ 、 ダニー・ウルフ 、 ハン・サンピン
出演: ジャッキー・チェン 、 ジェイデン・スミス 、 ハン・ウェンウェン 、 ワン・ツェンウェイ 、 ユー・ロングァン 、 タラジ・P・ヘンソン


ストーリー
父を亡くした少年ドレは、転勤する母に連れられ中国にとやって来る。言葉や文化などの全くの違いに戸惑いながら何とか周りに溶け込もうとするドレ。ところが、同じ学校いじめっ子のカンフー少年チョンのいじめの標的になっていしまう。ある時チョン達に掴まって、暴行を加えられている時、一見しがない学校の用務員の男に助けられる。かれこそカンフーの達人であるが、それをきっかけとして、彼についてカンフーを習う。そのカンフーは単なる技ではなしに、立ち居振る舞い、心構え、ものの見方全般に亘りドレを細かく指導し、彼を立派なカンフー少年に育てていく。この映画はドレの成長の過程を明らかにしてくれる素晴らしい映画だ。

背景と見どころ
主人公の少年がカンフーを通して、成長していく姿がほほえましい。ジャッキーチェン演じる師匠に連れられ、カンフーの修練が行われている僧院を訪れるが、そこでの修練の有様がまたすごい。本当にこんなことまでやるのという練習風景が描かれているが、恐らく映画に描かれているものに近い修練がされているのだろう。これはやはり見どころである。


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2017年8月13日日曜日

中国百科映画館がお贈りするおすすめの感動の中国映画10選

おすすめ中国映画10選


映画は人々に感動を与え、その感動の輪は果てしなく広がっていきます。

 しかし一口に感動といっても、その色々の感動があります。「感動を求めてやまない中国映画ファンの皆様のために」どこに感動をしたのかを深めながら、深い感動を共に味わっていきたいと思います。

「感動派のためのおすすめ映画10選」をまとめて比較評論してみたいと思います。


 人々を感動させるためには、共通の要因があることがわかりました。つまり感動を与える行動は、「それが簡単には成し遂げられない」ものということです。当たり前といえば当たり前ですが・・。

  1. ココシリ
  2.  この映画はチベットカモシカの密猟者からカモシカを守ろうとする男たちの命を懸けた闘いのドキュメンタリー風の感動物語だ。
     この男たちが守ろうとしたのは、カモシカなのだろうか。映画の中で触れられていたが、カモシカそのものではなく、自分たちが先祖代々受け継いできた環境・自然を密猟者に壊されることに対する怒りが彼らのドライビングフォースでなかろうか。しかも彼らはボランティアなのだ。
     彼らを動かしたものは決して金ではない。「金」が彼らの動機ならば、「こんな割の合わない仕事はやめ」ということで脱落者続出になるだろう。
     人間かけだけで動くものではないということを強烈に訴えた感動ものではないだろうか。




  3. 「1911」
  4.   1911年は辛亥革命が起こった年である。中国の歴史、有史が始まって以来3500年、皇帝による専制支配が続いてきた。その間王朝が変わりこそすれ、基本的に新しい皇帝や王が権力を引き継いで、それが一般大衆の手に移ることはなかった。

     この映画は、映画の中ではあるが、その歴史的な出来事を100年も経って人々の目の当たりに再現してくれたものとして、興奮を覚えるものだ。中国ばかりではなく、世界の近代の誕生を知るためには必見の映画。

     辛亥革命なくして、中国の現在はない。この革命によって、政治、経済、文化、ありとあらゆるものが、変わってしまった。我々は人類の遺産から何を学ぶべきだろうか。
  5. 三城記
  6.  ジャッキーチェンの父母が日中戦争や中国内乱の困難な中で生き抜いた生き様は後に続く現代の人々に対し、深い励ましと示唆を与える。

     彼らの強さと同時に彼ら二人を助けたのは、身の回りの庶民だということに深い感動を覚えた。
     戦争や混乱や困難な中でも、共に闘い力になってくれるのは、結局は自分の周りにいる人達なんだということが実感できた。周りにいる人たちとの絆の大切さを教えてくれた映画だ。




  7. 南京!南京!
  8. 人間は極限の状態に置かれると本性が現れるものだという。ではこの映画の中に出てきた人々の自己犠牲的な行動はいったい何だろう。人はこれをきれいごとという人もいる。しかし、きれいごとで自分の命を放り出せるものなのだろうか。自分の命失うことを覚悟しながら、不特定多数の人の命を救う行動に移る人がいることに感動する。







  9. 僕たちの家に帰ろう
  10.   中国の砂漠化が進む寒村で両親と離れて住む兄弟が突然、身寄りをなくしていしまい、兄弟で父母を訪ねてラクダで旅をする物語だ。
     日本であれば、「何で兄弟だけでそんな危険な旅に行かしたのか」と学校や教育委員会に非難ゴウゴウのところだが、そこは全くおおらかなもの。よくぞまあ!しかもラクダで。
     二人の旅を通じて、砂漠化、農村問題、貧富の差の問題を否応なしに白日の下に明らかにさせていく。実に説得力がある。兄弟が困難を乗り越え父母の下にたどり着くことに感動を呼ぶが、同時にそれだけでは何の解決にならない。大人たちの援助と助けが必要だという共感を呼ぶ。



  11. Trail of PANDA
  12. 迷い子パンダとパンダを保護し親元へ返そうとする子供の心温まる交流を描いたおすすめの感動映画。
     犬に追われて怪我をして体力を消耗した子供パンダを匿い、一途に世話をして食べさせる純粋な子供。
     パンダが子供への警戒を解き子供の作った滋養食を初めて食べたときの子供の喜び。
     パンダが体力を回復し、子供と遊ぶときのしぐさが何とも可愛らしい。
     子供と一緒に見る映画としては最高のおすすめの映画だ。





  13. 妻への家路
  14.  文化大革命のため20年もの間、最愛の妻と引き離され漸く再会した妻は残酷にも夫に対する記憶だけを喪失していた。
     夫にも妻にも何の罪もない。いわれなき罪状で、遠く離れた『労働改造所』で、20年もの長い間妻と離れ苦難の生活を強いられる夫。
     夫は妻に会いたさに脱走してくるが、紅衛兵となった娘の密告で収容所に送り返されてしまう。
     文革で人生を台無しにされた庶民の深い悲しみと傷は癒えることはない。巨匠チャンイーモーの映画は静かに文革の非道を訴え続ける。
     この映画の我々に与える感動は、決して達成感ではない。それどころか、何一つ達成されていないのだ。その見通しもない。おそらく未来永劫達成されることのないだろう。

     それでもひたすら進まなければならないことのひたむきさに感動するのだろうか。
     愛する人の為、おそらく報われることもない愛のために、愛する人に寄り添って自分も果てるだろうと覚悟することに感動するのだろうか。

     自分で自問する。「お前には出来るのか?」



  15. グオさんの仮装大賞
  16.  家族のつながりもない夢も希望もない中国の介護施設の老人たちが、「仮装大会」に出場する様を描いたシリアスな喜劇。
     病魔に襲われ余命いくばくもない人、家族とのつながりも切れ、ただひたすら最期が来るのを待つ生活を強いられる人々、歩くこともままならぬ車いすの老人。しかし彼らは元々大工であったり、運転手であったり、いまでも条件さえ許せば培った技量を発揮できる人々なのだ。
     しかし、施設は老人たちの安全と保護を建前に、ただひたすら老人たちに受忍することを強いる。介護施設は、社会が作った体のいい収容所だ。
     ある日彼らは自分達の生きた証を世に訴えることを唯一の希望として、「欽ちゃんの仮装大賞」にでることを自分達で決定する。「収容所」の中にも、生きる希望が初めて?湧いてきた。そんな中で施設は出場を禁止してしまう。
     彼ら創意工夫をし、力を出し合い準備を進める。陰ながら応援するスタッフたち。
     それでも安全第一の施設は老人たちに外出許可すら出さない。こうなら施設を脱出するしかない。
     苦難を乗り越え、会場にたどり着いた老人たちは一体どうなるのか? 


  17. 北京ヴァイオリン
  18.  中国の田舎町に暮らすチュンは天才的なバイオリン奏者だ。父親は音楽の事はわったく分からないが、子供の才能には特別なものを感じている。
     父親は子供を連れ、北京に出て、子供を国際的な音楽祭のコンペに出席させることを決意する。
     北京に出たのはいいが、まずはいい師匠を見つけなければならない。住むところも探さねばならない。父が金をとられたりの「四苦八苦する中でも、無事師匠を見つけ、コンペに出場するところをまでこぎつける。
     いよいよ出場する間際に子供は実の子供ではなく、捨て子だったことがわかる。父は子供に夢を託し、子供から離れ北京を去るため鉄道駅に向かう。

     映画に対しても、音楽に対しても、観客に対しても、実に純粋で、誠実な映画だった。父親もさることながら、主人公のチュンを演じたタン・ユンが実にいい。


  19. 再見! また会う日まで
  20.  ユイ・チョン監督が贈る感動物語。文句なしに涙を流した。この物語も文化大革命に絡む話だ。つつましく6人で幸せに暮らしていた家族。ある日突然、理不尽にも大黒柱の父親は職を失ってしまう。
     さらに悪いことに両親は不慮の事故で、4人の子供を残し死んでしまう。
     残された4人の子供は路上に放り出される。一番上の兄は弟や妹たちを養ってくれる人を必死に探し預けていく。一番上の妹はこれからアメリカに旅立とうとする夫婦に頭を地につけて妹を連れて行ってもらうよう必死に頼み込みむ。
     こうしてバラバラになった兄妹4人。20年の時を経てアメリカでバイオリンで名を成した長女は、中国での演奏会を機に再会を果たそうとするが…。


       中国映画では、こうして非情な不幸な目にあった子供たちが、世の中を拗ねて、グレて悪事に走ったりするのをあまり見ない。勿論必死に食っていく中で悪事に走るのもあるが、日本映画に見るように、拗ねたり内にこもったりする映像があまりないように思う。日本人と中国人の国民性の違いなのか。何か中国人の方が堂々としていて、たくましい気がするのだが・・。そう感じるのは私だけだろうか?


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2017年8月5日土曜日

トニー・レオン主演 よく分からない香港映画「恋する惑星」

恋する惑星:心に残る中国映画セレクション100

心に残る中国映画セレクション100が金城武の「恋する惑星」をお送りします。

恋する惑星


今回は香港映画「恋する惑星」をお贈りします。

映画の紹介
製作国が香港となっているのも面白い 麻薬取引にかかわる金髪の謎の女と、恋人にふられ落ち込み気味の刑事モウとの出会い。そして、モウが立ち寄る小食店の新入り店員フェイと、スチュワーデスの恋人にふられる警官との出会いとすれ違いという二つの話が繋がりもなく繋げられる。

映画データ
製作年:1994年
製作国:香港
原題:重慶森林/CHUNGKING EXPRESS
製作:ジェフ・ラウ
出演:トニー・レオン 、ブリジット・リン 、金城武 、バレリー・チョウ 、フェイ・ウォン
監督:ウォン・カーウァイ


ストーリー
ストーリーのないのがストーリー

背景と見どころ
時間と暇のある人は映画館でぼーとするのもたまにはいい。
 この映画は重慶を舞台にしているとのことだが、「何故重慶?」という疑問は残る。返還前の香港ではなく、重慶?そして森林?有象無象が暮らす大都会で方向性もなく、這い回る人々という意味を込めたのだろうか



重慶てどんなところ? 重慶豆知識

地図の中央部少し左の赤線で囲まれた部分が重慶市である。
縮尺から判断できるように、東西約600Km、南北約400Km にも及ぶ膨大な大きさである。
重慶が上の地図のように広大な面積を持つ直轄市になったのは1997年内陸部振興のためランクアップした時である。重慶市自体は、1189年南宋の時、「重慶」と命名されて以降大都市として発達した古い都市である。現在の主力産業は自動車産業(自動車、オートバイ)であり、また中国内最大の軍事設備生産の拠点でもある。


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2017年8月4日金曜日

中国映画「1911」:ジャッキーチェンが孫文の腹心の友を演じきる

1911

「1911」とは1911年に起こった中国の辛亥革命を描いた映画の題名です。
近代中国の誕生を知るためには必見の中国映画。辛亥革命なくして、中国の現在はない。この革命によって、政治、経済、文化、ありとあらゆるものが、それまでの皇帝支配から完全に覆された。そればかりか、その余波はロシアにも及び西洋列強は革命の波及を恐れ、干渉を開始する。



映画データ
出演:ジャッキー・チェン 、 リー・ビンビン 、 ウィンストン・チャオ 、 ジョアン・チェン 、 ジェイシー・チェン(房祖名) 、 フー・ゴー 、 ニン・チン 、 ジャン・ウー 、 ユィ・シャオチュン 、 ジェイシー・チェン 、 ジャン・ウー
監督:チャン・リー


ストーリー
20世紀初頭、清王朝は一路滅亡の道をたどっていた。国はアヘン戦争で敗れ、列強の餌食と化し、国民は清朝、中国国内の豪族・軍閥の支配と西欧列強の3重の支配に苦しんでいた。太平天国の乱やその他反乱が勃発し、乱れに乱れていた。国を憂う若者たちは王朝の打倒を掲げ、各地に革命組織を結成していく。
 孫文も革命を志すが武装蜂起に失敗し、日本に亡命する。そこで黄興と出会い、同志となる。孫文は黄興と何度かの武装蜂起の後ついに清朝を倒し、辛亥革命を成就させる。


 しかし、迫り来る欧米の侵略を食い止めるため、新しく建てた政権を不動のものにせねばならない。そのため孫文は周りの反対を押し切り、軍閥の頭目である袁世凱と妥協し、袁世凱を総統に推挙する。果たして辛亥革命はどこへ行く。


背景と見どころ
 辛亥革命の陰の立役者として二人の日本人の名を上げなければならない。宮崎滔天や長崎の梅屋庄吉などである。宮崎滔天の名前は映画にも出てくるが、梅屋庄吉の名前は出てこない。彼は、現在の日本円にして1兆円にも上る援助をしたともいわれ、彼の援助なくして辛亥革命の成功はあり得なかっただろうとも言われている。

 スタンフォード大学のある教授で、「政変なり、革命の性格を見るには、金の流れを見なさい」と、金や資金が全てあるかのようなことを言うものもいるが、それは一つの側面であり、それが革命の性格を決定するものではない。資金がどこから出ていようと、その革命の担い手はどこにあるのか。その革命が達成したものは何か。といったことにかかっていることを忘れてはならない。

 この映画のみどころは、この映画がドキュメントタッチで史実を忠実に再現しようとしていることだ。それから孫文が何を考え何を思って行動したかを知ることが出来ることである。
 この映画の主役はジャッキーチェンが演じる黄興であるように宣伝されているが、商業ベースではやむをえない部分であるが、この映画の主役は「孫文」である。それは誰が演じるかなんていう問題ではない。ちょうど映画の中で孫文が「総統に誰がなるかの問題ではない」と語っているのと全く同じことが言える。逆に私はジャッキーチェンは脇役を見事に演じきったことが、この映画ももう一つの見所だと思う。そこを見失うとこの映画の真価が見えなくなってしまう。 



辛亥革命についての詳しい説明は 【中国百科ノート 歴史編「辛亥革命】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年7月24日月曜日

母と子の愛情を切々と描きあげた「山河ノスタルジー」

山河ノスタルジー

この映画の原題は「山河故人」
 時代を越えて変わらないもの―母が子を想う気持ち。それでも変わり行く眼前の風景や周りの人々。自分は誰だろうと思ってしまうのは中国人も日本人も同じ。原題の方が日本語題よりずっとぴったり来る。


映画の紹介
 なにもかも急激に変貌を遂げる中国。その中で人々の心もまた変わっていった。離れ暮らす母と子。母はひとり故郷で、異国の地の子供を思い続ける。
息子は心のどこかで、母の面影を探している。
母と子の強い愛は陰線、出会う人との愛は陽線。変わりゆくこの世界を陰線と陽線が織りなす。変わらぬ想い。



映画データ
原題: 山河故人
出演: チャオ・タオ, チャン・イー, リャン・ジンドン, ドン・ズージェン, シルヴィア・チャン
監督: ジャ・ジャンクー
形式: Color, Dolby 言語: 中国語
字幕: 日本語
リージョンコード: リージョン2 (このDVDは、他の国では再生できない可能性があります。詳細についてはこちらをご覧ください DVDの仕様。)
販売元: バンダイビジュアル
発売日 2017/01/06
時間: 127 分


ストーリー
 1999年、山西省・汾陽(フェンヤン)。 小学校教師のタオは、炭鉱で働くリャンズーと実業家のジンシェンの、幼なじみの二人から想いを寄せられていた。 やがてタオはジンシェンからのプロポーズを受けいれ、息子・ダオラーを授かる。
 2014年。タオはジンシェンと離婚し、一人汾陽で暮らしていた。ある日タオは急死した父の葬儀を機にダオラーを引き取ろうとする。しかし余りに長い時間は、もはや母と子の関係を維持できなくなっていた。
 そして、二人はまた離れ離れに。時は流れ、2025年、オーストラリア。
 19歳になったダオラーは長い海外生活で中国語が話せなくなっていた。父と子の会話も通訳が必要に。
父親と確執がうまれ、自らのアイデンティティを追い求める中、中国語教師ミアとの出会いを機にミアの中に母の陰線を見出し、ミアと結ばれる。ダオラーはかすかに記憶する母親の面影を探しはじめる。


背景と見どころ
左の地図の赤線で囲ったところが山西省・汾陽である。この映画の舞台は、田舎も田舎。開発に取り残された街である。
 この街から西南西300Kmのところに延安がある。延安は中国共産党が国民政府に追われ、行き着いた先である。これは長征として歴史でも名高い事件である。
 もう少し説明するとこの街から北東約150Kmのところに、山西省省都の太原がある。この地方は石炭の産出地であり、良質の石炭が産出される。(大同炭鉱)。この映画にも出てくるような炭鉱は、民間の小規模炭鉱が多く、杜撰な管理体制が問題となっている。
 もう少し北に行くと大同があり、「雲崗石窟」で世界遺産になっている。





大同の「雲崗石窟」の詳しい説明は 【三大石窟】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年7月22日土曜日

日中戦争前夜の混乱期を生き抜く夫婦。ジャッキーチェンの両親がモデルの中国映画「三城記」

三城記

ジャッキーチェンの両親が国民党軍、日本軍、共産党ゲリラの三つ巴の戦いの混乱の続く地獄のような中国社会をいかに生き抜いたかを描いた中国映画「三城記」をお贈りします。
「三城記」の三城は安徽省、上海、香港と両親が戦乱を逃れて渡り歩いた都市を指します。


映画の紹介
 この映画を見ると平和の大切さを実感します。私はこの映画は反戦映画だと思います。
メガホンを執ったのは、「宋家の三姉妹」などで知られるメイベル・チャン監督。虐げられるものへのやさしい視線を感じる。


映画データ
出演者:ラウ・チンワン、タン・ウエイ
監督:メイベル・チャン(張婉婷)
収録時間:131分
原題:三城記

メイベル・チャンは、香港の映画監督。
生年月日: 1950年11月17日 

生まれ: 中華人民共和国 広東省
パートナー: アレックス・ロー (1986年から)
学歴: ニューヨーク大学 (1981年 - 1982年)、 香港大学
受賞歴: Hong Kong Film Award for Best Director、 Golden Rooster Award for Best Co-Produced Feature

作品
非法移民(1985年); 誰かがあなたを愛してる(1987年); 八両金(1989年); 宋家の三姉妹(1997年); 玻璃の城(1998年); 北京ロック(2000年); 失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン(2003年)
ストーリー
 ジャッキーチェンの父親は山東省に生まれ、安徽省、上海、香港へと流れていく。それも決して自分の意志ではなく、戦火から流れたり、家族を護るため。ダオロンが母親のユエロンをアヘンの取引で尋問した時、このご時勢多少のことは責められないといって釈放してしまう。
 それをきっかけとして二人は次第に係るようになり、やがて二人力合わせて、ひたすら「生」を求めて生き抜く。生易しいストーリーではなく、凄まじい展開だ。
 この二人に係ってくる廃品回収の青年が出てくるが、彼の姿がこの映画の中ではもう一つの「赤い糸」として鮮やかにストーりーを際立たせている。


背景と見どころ
 この映画のテーマは戦争の中で、苦しみながらも、逞しく行きぬく庶民の群像。日中戦争は間違いなく日本が仕掛けた全面戦争だ。
 映画の中では、国民政府がいろいろ狼藉を働く場面が出てくるが、この時代の上海は、日本、国民政府、共産党の抗日部隊が三つ巴の戦いを繰り広げていた。
 そのような背景があったからこそ、廃品回収の青年がダオロンの命を助けるために共産党のゲリラ部隊に援助を申し出て、大量の時計を譲り受け、金に換えるという話が生きてくる。そしてその青年は、恩返しとして、爆薬をトラックに積み込んで国民党軍の中に突っ込んでいく。
 考えさせられるシーンだ。




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2017年7月20日木曜日

伝説の武闘家イップマンをモデルにトニーレオン主演「グランドマスター」

グランドマスター

映画の紹介
日清戦争に敗れ、辛亥革命をへて、国の形も定まらぬ時に、日本の侵略を受け、満身創痍の中にあって、様々な思惑と欲望が渦巻く中国の中で格闘家たちはいかに時代に係っていったかを描くエンターテインメント超大作!

「人生には3つの段階がある。」とは、この映画のテーマであるイップマンの師匠が言った言葉だ。カンフー映画ではあるが、哲学的な映画だ。

  1. 己を知ること
  2. 世の中を知ること
  3. 人生を知ること
映画データ
出演: トニー・レオン, チャン・ツィイー, チャン・チェン, マックス・チャン, ソン・ヘギョ
監督: ウォン・カーウァイ
言語: 中国語
字幕: 日本語
ディスク枚数: 1
販売元: 松竹
発売日 2013/12/05
時間: 123 分


ストーリー
 世界を呑みこむ戦争の足音が、刻一刻と迫る1930年台の中国。北の八卦掌(はっけしょう)の宗師であるゴン・パオセンは引退を決意し、その地位と生涯をかけた武闘家の南北統一の使命を譲る後継者を探していた。

 物語は、この後継者の選別の場面から始まる。そして、その跡目争いに、日中戦争の勃発も絡み、舞台は香港の郊外広東省佛山から広州、さらに香港、北京、奉天へと広がる。
 候補は一番弟子のマーサンと南の詠春拳(えいしゅんけん)の宗師・葉問(イップマン)。パオセンの娘で、奥義六十四手をただ一人受け継ぐゴン・ルオメイに絞られる。
だが、日本軍と手を結び中国全土に覇権を広げようとするマーサンがパオセンを殺害。ルオメイはイップマンへの想いも、父の望みも捨て、仇討ちを誓う。
 ひたすらあだ討ちに突き進むルオメイと抗日ではあるが、政治活動に距離をおきカンフーの頂点を目指そうとするイップマンは結局別々の道に。一方、八極拳(はっきょくけん)を極め、一線天(カミソリ)と呼ばれる謎の男も、一匹狼として巷をさまよう。それぞれの格闘家の生き様はいかに?


    映画は、これら4人の格闘家の生き様にその時代の流れを乗せて進んでいく。
  1. ゴン・パオセン :清朝末にカンフーの頂点に立った男ではあるが、時代の移り変わりを見据え自らは身を引き、若き後継者に道を譲ろうとする。いわば古い時代の象徴。
  2. イップマン:混乱期にカンフーの宗師を任ずることになるが、政治的な動向から一線を画し、ひたすら格闘技に埋没する。しかし、民衆の立場には立ち続けようとする。
  3. マーサン:一度は宗師から後継者と指名されるものの、野望と野心から日本軍と手を結び、日本軍の手先に身を落としていく。最後はルオメイに敗れ、中国制覇も潰えていく。
  4. ルオメイ:父の直伝の技を極めるものの、あだ討ちのみを追求したために、その目的が果たされた後は、人生の目標を失い、アヘンに身をやつしていく。弱き大衆を体現している。
  5. 一線天(カミソリ): 確かな技を持つものの、その技を生かすことなく、一匹狼として時代に埋没してしまう。

背景と見どころ
武闘映画にありがちなワイアリングを多用した場面は余りなく、派手な立ち回りで見せ場を作るのではなく、むしろカンフーの技をできるだけ忠実に再現しようとしている。



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2017年7月18日火曜日

パンダの子供が可愛いディズニー映画「Trail of PANDA(パンダ母親の下へ)」

Trail of the Panda(原題:熊猫回家路)

 中国から借りてきたパンダが、上野動物園で赤ちゃんを生み、名前が募集されている。いまや中国でも、パンダ外交の主役として、中国の外交では重要な位置づけになっている。ここで紹介する中国・四川省で撮影された中国のパンダを主役にしたディズニー映画「パンダ家に帰る」(筆者の独断訳)。このパンダも本当に可愛い。

映画の紹介

中国映画ではないが、中国でロケがなされ、カバーが気に入ったので、強引かも知れないが取り上げた。
 登場人物は主人公の男の子、陳叔父さん、科学者の3人と非常にシンプルである。中で話される中国語も、子供の会話が多くの部分を占めるので、非常にわかりやすく、中国語学習者にはもってこいの教材です。


習うより慣れろ!というじゃありませんか。
これを中国語では「熟能生巧」といいます。日本人には、通訳なしで理解できますね。


映画データ
言語: 北京語(中国語)
字幕: 英語
リージョンコード: リージョン1 (アメリカ合衆国およびカナダ このDVDは、他の国では再生できない可能性があります。(テレビではよみこめなかった)

画面サイズ: 1.85:1 ディスク枚数: 1
販売元: Walt Disney Studios Home Entertainment
配役
小卢: 原島大地(中国で活躍する)
老阵: 张琪
科学者:冯瓅(「孔雀」という映画で好演)


主演の男の子のデータ
実にかわいくなかなか芸達者な子供と思ってたら、日本人ということで、特別に書き出してみた
男演员:原島大地
出生 1997年10月24日(19歲) 日本東京
职业 演員、學生
语言 國語、粵語、日語(ここで言う国語は中国語、粵語はざくっといって広東語、日語は云わずと知れた日本語です。)つまり彼は3ヶ国語も喋る 今はやりの言葉で「すご~い!」
教育程度 中學
出道作品 電影:《母親快樂》
活跃年代 2002年-2012年


ストーリー
 話は中国の奥地・三国志の舞台、四川省。科学者とガイドの猟犬に追い立てられた子供のパンダは逃げる途中、木から落ちて体力を消耗し、危うく捕まりそうになる。
 たまたま通りかかった少年が保護し、世話をするうちにパンダと心を通わせる。パンダの体力は無事回復するが、見つかり捕獲されてしまう。少年は機転を利かし、パンダを無事逃がすまでの物語。  ストーリーとしては特に取り立てて、言うほどのこともないが、とにかくパンダの子供が可愛く、見るだけで心休まる。癒し系の作品。



背景と見どころ
少年がパンダの世話をするところが、微笑ましいし、いじらしい。またパンダの体力が回復したときに少年が見せたうれしそうな表情はなんともいえない。
 ディズニー映画ではあるが、立派な中国映画だ。変にアメリカ色を出さず、中国の映画に徹していることがいい。  この映画の撮影中に(2008年)、四川大地震が発生した。この映画にも出ていたパンダも罹災したとのこと。



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2017年7月8日土曜日

二人の兄弟が砂漠をラクダで旅する 中国映画★僕たちの家に帰ろう★

僕たちの家に帰ろう

映画の紹介

 少数民族ユグル族の兄弟の物語だが、このたびを通じて、中国の農村の砂漠化、出稼ぎ農民の問題など中国の抱える「三農問題」が浮かび上がってくる。

映画データ
出演: タン・ロン, グオ・ソンタオ, バイ・ウェンシン
監督: リー・ルイジュン
形式: Color, Widescreen
字幕: 日本語
ディスク枚数: 1
販売元: オデッサ・エンタテインメント
発売日 2016/08/03
時間: 103 分


ストーリー
 ユグル族の幼い兄弟・バーテルとアディカーは、遊牧を生業にする父母と離れて、祖父に預けられて暮らしていた。兄弟達の住む家も、砂漠が町に迫り、生活が厳しくなっていた。祖父は高齢のため亡くなってしまう。
 二人だけになった兄弟は、二匹のらくだと共に父母のいる家を目指し旅に出るのだった。馬ではなく駱駝というのがなんとも。しかし、そのらくだの旅は生易しいものではなく、果てしなく続く砂漠と廃墟の中をひたすら水を求めながら、河西回廊を今は枯れた河を辿りながら進んでいく。これは馬では絶対不可能。そして苦難の果てに何とか父親の元に辿りつく。そこで見たものは、自分たちが夢にまで見た青々とした草原ではなく、行く筋もの煙を吐き続ける精錬工場群であった。



背景と見どころ
 少年二人が歩いた道は、かつて東西をらくだの行商たちが歩いた、古代シルクロードの一部としてかつて繁栄した中国北西部“河西回廊(かせいかいろう)"なのだ。
 現代の日本の子供たちでは絶対に頭に浮かばないことをやってのける、幼き兄弟のたくましさ

 そして中でも弟の逞しさ。お兄ちゃんはどっちか言うと軟弱。
 ユグル族の幼い兄弟の両親のもとへ帰る道中、様々な出会いと別れを経験し成長していく姿
 雄大な自然を破壊していく人間の営み!
 一大国家を築いた歴史を語る廃墟!
 滅びゆく民族と文化への哀惜。
 社会を発展、環境破壊の問題も!そして農業と砂漠化



ユーグ族に関する詳しい説明は 【モンゴル族系 ユーグ(裕固)族】 ☜ こちらをクリックしてください

河西回廊に関する詳しい説明は 【地理編 西北地方 甘粛省・河西回廊】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年7月6日木曜日

中国の老人ホームが分かる中国映画 中国の心温まる人情社会

グオさんの仮装大賞

 人生最後の輝きを求めて、老人ホームで暮らすじいさんたちがおんぼろバスで大脱走! !
 人生最弱の仲間と人生最高の舞台へ、夢に向かっておんぼろバスはひた走る。

映画の紹介
『胡同のひまわり』チャン・ヤン監督最新作!
世界各国の映画祭で観客を笑いと涙で包み込んだ珠玉のハートフルストーリー!
何もかもぼろぼろの老人達が自分たちの「こう生きたい。こういう死に方をしたい」と夢と希望を託して、天津へそして夢は日本へと突き進む!



映画データ
出演: シュイ・ホァンシャン, ウー・ティエンミン, イエン・ビンイエン, ガオ・グー, リー・ビン
言語: 中国語, 日本語
字幕: 日本語
監督: チャン・ヤン(張楊)
発売日 2016/02/02
時間: 104 分


張楊(チャンヤン1976年-について)

中国北京出⾝・映画監督・⽗・張華勳も映画監督。胡同で少年時代を過した 体験はその後の彼の作品造りに財産として残っている。 中山大学中文科、中央戯劇学院監督科で学んだ後、『スパイシー・ラブスープ』でデビュー。 第6世代の監督のひとりとして一躍世間の注目を浴びる。 第2作は胡同を舞台に父子の心の触れ合いを描いた『こころの湯』が日本や欧州でヒット、同作と『胡同のひまわり』でサン・セバスティアン国際映画祭の最優秀監督賞を2度受賞。彼の胡同の経験が滲み出た作品となっている。

ストーリー
 妻を亡くし家を手放すことになったグォさんは、呼ばれていない孫の結婚式に行き、息子に冷たくあしらわれてしまう。
 友人のチョウさんを頼って老人ホームで暮らし始めたグォさんは、ひょんなことからテレビ番組“仮装大賞"出場を目指すことに。
 だが老人ホームの職員や家族は猛反対。グォさんたちは自分達最後の夢を乗せて、老人ホームを抜け出すことにする。バスに乗り込み 憧れの“仮装大賞"出場に向けた旅が始まる…。
 チョウさんの秘めたる夢は日本のあの「仮装大賞」。
 老人ホームは日本も中国も同じ。-->新しい発見!!


背景と見どころ
下手な解説はいらない。可笑しくもあり、身にもつまされ、言うことなし。



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2017年7月1日土曜日

チャンイーモーが中国映画「妻への家路」に込めた密やかなるメッセージはなに?

妻への家路

映画の紹介
チャン・イーモウ監督×コン・リー主演の新たなる最高傑作が誕生!
アン・リー、スピルバーグなど、世界の巨匠達が絶賛! カンヌ、トロント映画祭など13もの映画祭にて拍手喝采で称えられた感動作。
近くに居ても心を通わすことができない、この世でも最も切ない夫婦の愛の物語に号泣必至!


映画データ
原題:『帰来』
出演: コン・リー, チェン・ダオミン, チャン・ホエウェン, チェン・シャオイー, イエン・ニー
言語: 中国語
字幕: 日本語
監督: チャン・イーモウ(張芸謀)

チャン・イーモウについて
映画監督:張 芸謀 は、中国の映画監督。
中国映画界の「第五世代」の監督として知られる。
また、撮影監督、俳優の経験もある。
生年月日: 1950年4月2日
生まれ: 中華人民共和国 西安市
受賞歴: 金熊賞、 金獅子賞、 カンヌ国際映画祭 審査員特別グランプリ

ストーリー
 1977年、荒れ狂った文化大革命が終結した。
 無実の罪から開放されたり、強制労働から解放された人々も帰り、世の中は徐々に落ち着きを取り戻す。20年ぶりに解放された夫は妻との再会を果たすが、妻は長い長い心労の余り、夫だけの記憶を失っていた。  夫は出来るあらん限りの手を使い、妻の記憶を呼び戻そうとするが、妻は間近にいる夫を夫として認識せぬまま、「夫」を来る日も来る日も駅に出迎えに行く。
誰よりも愛し合い、誰よりもお互いを求めるものの、妻は夫を認識せぬまま、老いを迎えていく。


 しかし妻の記憶喪失は単に待ちわびただけではない、彼女の記憶喪失の直接の原因には、もっと恐ろしいことが彼女の身の上に起こったことを夫は知ってしまう。
 そのことを明らかにするためにその男・「方」某のところに向かう。しかし彼を待ち受けていたものは、その加害者と思しき方某も何処かに拘束され、妻もその夫を待ちわびているという現実だった。その男は加害者であると同時にそのその妻と共に被害者だった。
 この「方」という苗字だが、この漢字には固有名詞以外のある思いが込められているように思う。つまり一般名としての「方」だ。日本でもこの漢字は、同じ使い方をされるが、方向をあらわす。
 私は監督やこの作品の作者は、この「方」という名前に、あの方面の方という意味を込めている。あの方面というのは、権力者を指しているのではないかと思う。そして、この「方」は、映画の中では姿を現さない。妻にとっては、ぞんざいには扱えない影の存在だ。妻が自分自身を見出そうとすると必ず邪魔をする。

 文化大革命の中国の人々残した傷はどこまでも深く癒されることはない。そのその重い現実を監督はラスト・シーンで静かなメッセージとして我々に語りかける。

文革への内省的視点
チャンイーモー監督が我々に深いメッセージとして残したのは、中国の大家である「巴金(1904~2005年)」と同じ視点だと思います。
彼は文革で他の作家と同じく迫害されたが、文革後、自らを単なる被害者ではなく加害者だとして、深い内省と批判を『随想録』(1978-1986)に綴り、文革博物館の建造もよびかけた。(1985年国立現代文化館)

巴金について、詳しい説明は 【「中国百科 文化・芸術」第10章文学 「現代中国の作家たち」】 ☜ 
こちらをクリックしてください

背景と見どころ
 文化大革命が、中国の人々に与えた傷は今でも癒えることなくどこまでも深く深く、人々の心を「蝕んでいる」。


中国の映画人がこの文革の中で受けた迫害について、詳しい説明は 【「中国百科検定攻略ノート 「文化大革命と映画界」】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年6月30日金曜日

中国人の中年の男女の大人の中国映画「花様年華」トニー・レオンとマギー・チャンの抑えた演技が光る

「花様年華」

成熟した中国映画の渋さを見せ付ける秀作。返還前の香港の浮世に漂う大人の男女の愛情は、「一線を越えた越えない」といった薄っぺらな話ではない。

映画の紹介
花様年華
「四十にして不惑」という言葉があるが、この映画は、まさしく不惑と煩悩との間をさまよう、渋い男と女の物語だ。そして、彼らは最後は不惑の世界に留まり、それぞれの道を何事もなかったかのように歩みだすことだろう。誰でもこうありたいと思うが、なかなかそうはいかないのが人生。この映画を一言で表せといわれたら「渋い」。それ以外の言葉は見つからない。

映画データ
出演: トニー・レオン, マギー・チャン, スー・ピンラン, レベッカ・パン, ライ・チン
監督: ウォン・カーウァイ(王家卫)
 略歴:1958年、上海に生まる。5歳で香港に移住。
 香港理工学院入学、グラフィック・デザイン(専攻)
 その後映画の脚本家を経て監督。

■ウォン・カーウァイ監督の作品
1988年、「いますぐ抱きしめたい」で監督デビュー。
1990年代、「欲望の翼」「恋する惑星」「天使の涙」などの青春群像劇を独特の語り口調と個性的な映像美で注目を集める。
2000年、「花様年華」
2000年代~「2046」「グランドマスター」など。

ストーリー
1962年、香港。
新聞社の編集者であるチャウと商社で秘書として働くチャン夫人。
二人は同じアパートに同じ日に引っ越して来る。
やがて、二人は互いの伴侶が不倫関係にあることに気付き、秘密の時間を共有していく…。



背景と見どころ
 この映画の題名「花様年華」は「花のようなきれいな時期」の意味で、「青春時代」を指す場合が多いということだが、青春というには少しトウが立ちすぎている気がするのだが・・。
 この映画の舞台設定は、1966年、香港。このころの香港といえば、中国への返還を控え、市民レベルでも、自分達の将来を見据え、どう動くべきかを見極めようとしていた時だ。映画の中にも、主人公のアパートの女主人がアメリカの娘の下へ行くという会話やシンガポールへの移住の話、みんな出て行くという会話の中にも出ている。当たり前かもしれないが、誰も中国に返還されるのだということを現実に感じていないようなところがある。中国はこのころは未だ文化大革命の真っ最中だった時代。
映画ではある種の閉塞感が全体に醸しだされていた。これも時代を反映した作品であった。




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2017年6月29日木曜日

コンリーの美しさがひときわ引き立つ中国映画 「王家紋章」

王家の紋章

映画の紹介
 晩唐に起こった黄巣の乱で、中国は五代十国の乱世に突入する。その中の一つである後唐を舞台に繰り広げられた陰謀渦巻く権力闘争は、重陽節を軸に華やかな宮廷を血で染める。国王、王妃、皇太子、第二王子、第三王子の間の争いは行き着くところを知らない。コンリーの王妃はあくまで美しく、悲しくもある。

映画データ
主演 :チョウ・ユンファ, コン・リー, ジェイ・チョウ, リウ・イェ
助演俳優 :シン・ジュンジェ
監督 :チャン・イーモウ


 ストーリー 



背景と見どころ
この物語は、唐の末期に起こった黄巣の乱の平定に力のあった朱全忠が後梁を建てるが、この映画の中の王である李存勗は923年後梁を滅ぼす後唐を建てた。この後唐が舞台となっている。後唐の権力基盤はまだ脆弱で定まらず、権力闘争で揺れ動く。唐は終わり、乱世の五代十国の時代に突入する。この後唐は936年に滅んでいる。後唐の寿命は僅か13年の短いものであった。それでも後唐の勢力図は地図の通り、華北を制する広大なものであった。


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2017年6月25日日曜日

返還前の閉塞感漂う香港で苦しむチンピラの純愛を描く中国映画「いますぐ抱きしめたい」

いますぐ抱きしめたい

映画の紹介
私がおすすめするのは、「いますぐ抱きしめたい」だ。最初は題からどんなかわいい映画かなと思ったら、中身は「やんちゃ」な映画だと感じた。しかし、はやり面白かった。最初は、この「抱きしめたい」というのは,誰を抱きしめたかったのか?はっきりしなかった。

 しかし、原題が「旺角卡門」(オウカクのカルメン)であることを知って、映画の意図と監督の云いたいことが何かを読み取ることが出来た。
 これは単なる、街のチンピラの恋と暴力を描いたものとは違い、イギリスの植民地の中の閉ざされた租界「旺角」の中の民衆のやりきれない閉塞感を代弁したものだ。
 香港映画界の鬼才、ウォン・カーウァイの監督デビュー作。
 キャッチフレーズは「香港の暗黒街に生きる青年の姿を独自の映像感覚で切り取った痛切なラブストーリー。」であるが、この話に終わらせてはいけない気がする。アンディ・ラウ、マギー・チャンが共演。



映画データ
原題:旺角(英語読み:モンコク)卡門(日本語の意味は、モンコクのカルメン)
ジャンル :ロマンス, ドラマ, アジアの映画
主演 : アンディ・ラウ, マギー・チャン, ジャッキー・チュン, アレックス・マン
監督 : ウォン・カーウァイ (王家卫)
言語: 広東語
字幕: 日本語
製作:1988年
時間: 99 分

ウォン・カーウァイについて
簡体字 王家卫(因みにこの漢字の読みは中国語の北京語によるものではなく、広東語の発音である)
出身地 中国香港
生誕 1958年7月17日 中国上海
職業 映画監督、脚本家
活動期間 1982– 
略歴 中国・上海出身、五歳のときに香港に移住。香港理工学院へ入学、グラフィック・デザインを学ぶ。卒業後テレビの現場を経て、脚本家として映画界にデビューした。

ストーリー
 香港の大繁華街モンコクに住む従兄アンディを訪ねたマギーは、ギャング組織を抜け出せずに、すさんだ生活を送っている彼に反発しながらも、心ひかれるものを感じていく。
 度重なる抗争に嫌気が差していた彼もまた、彼女のもとに身を寄せるように。しかし彼は、弟分ジャッキーの危機を知り、ジャッキーを思い留まらせようとある思いを秘めて、再び暗黒街へと向かった…。



背景と見どころ
 この映画が作られたのは1988年で、香港返還前である。この時は香港島と半島ともにイギリスの疎開地であったが、この映画の舞台となった地区は、当時の警察権も及ばない無法地帯であった。
 この映画はこの特殊な界隈の危険な状況を良く描き出していると同時に、その暗黒街の泥の中に生きる青年のうめき声が聞こえてくるようだ。




2017年6月22日木曜日

見るものの心が洗われる「北京ヴァイオリン」

北京ヴァイオリン

映画の紹介
 おすすめの映画、こころ洗われる映画だ。映画に対しても、音楽に対しても、観客に対しても、実に純粋で、誠実な映画だった。父親もさることながら、主人公のチュンを演じたタン・ユンが実にいい。
 これには余計なコメントは不要だ。無条件に全ての人に見てほしい。


 『さらば、わが愛 / 覇王別姫』 のチェン・カイコーが、父子の熱い絆をつづった感動作。天才的なヴァイオリンの腕前を持ちながら田舎町で暮らす少年・チュン。なんとか息子をヴァイオリニストとして成功させるため、父・リウはチュンを連れて北京へと旅立つ。


映画データ
出演: タン・ユン, リウ・ペイチー, ワン・チーウェン, チェン・ホン
監督: チェン・カイコー(陳 凱歌)
販売元: ジェネオン エンタテインメント
時間: 117 分

監督 陳 凱歌について
生年月日: 1952年8月12日
生まれ: 中華人民共和国 北京市
書籍: King of the children、 花の生涯-梅蘭芳(メイランファン)

代表作

  • 花の生涯~梅蘭芳(メイ ラン ファン)~ (2008) 監督  
  • 北京ヴァイオリン (2002) 監督/出演/脚本 ユイ教授
  • キリング・ミー・ソフトリー (2001) 監督  
  • 始皇帝暗殺 (1998) 監督/脚本/製作/出演  
  • さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき) (1993) 監督/製作
  • 黄色い大地 (1984)
ストーリー
 ヴァイオリンの才能ある息子を一流のヴァイオリニストとして成功させるために、貧しい父はお金をコツコツためて、息子と北京へ。
 そこで出会った人々との交流を通して、親子のきずなを描いたチェン・カイコー監督の感動作。



背景と見どころ
長江の下流に広がる穀倉地帯
(上海、無錫、揚州、南京、杭州、紹興、蘇州)
 主人公達が北京に出てくる前に住んでいた田舎町は多分江南の蘇州か紹興辺りの街だろうと思う。江南は北京に比べれば、田舎町ではあるが、昔から生活が豊かで、東北や北部のように異民族との抗争に明け暮れたところとは違い、落ち着いた街が並んでいる。











江南に関する詳しい説明は、
「中国百科検定」地理編の江蘇省、浙江省、安徽省 ☜ こちらをクリックしてください
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