1911
「1911」とは1911年に起こった中国の辛亥革命を描いた映画の題名です。近代中国の誕生を知るためには必見の中国映画。辛亥革命なくして、中国の現在はない。この革命によって、政治、経済、文化、ありとあらゆるものが、それまでの皇帝支配から完全に覆された。そればかりか、その余波はロシアにも及び西洋列強は革命の波及を恐れ、干渉を開始する。
映画データ
出演:ジャッキー・チェン 、 リー・ビンビン 、 ウィンストン・チャオ 、 ジョアン・チェン 、 ジェイシー・チェン(房祖名) 、 フー・ゴー 、 ニン・チン 、 ジャン・ウー 、 ユィ・シャオチュン 、 ジェイシー・チェン 、 ジャン・ウー
監督:チャン・リー
ストーリー
20世紀初頭、清王朝は一路滅亡の道をたどっていた。国はアヘン戦争で敗れ、列強の餌食と化し、国民は清朝、中国国内の豪族・軍閥の支配と西欧列強の3重の支配に苦しんでいた。太平天国の乱やその他反乱が勃発し、乱れに乱れていた。国を憂う若者たちは王朝の打倒を掲げ、各地に革命組織を結成していく。
孫文も革命を志すが武装蜂起に失敗し、日本に亡命する。そこで黄興と出会い、同志となる。孫文は黄興と何度かの武装蜂起の後ついに清朝を倒し、辛亥革命を成就させる。
しかし、迫り来る欧米の侵略を食い止めるため、新しく建てた政権を不動のものにせねばならない。そのため孫文は周りの反対を押し切り、軍閥の頭目である袁世凱と妥協し、袁世凱を総統に推挙する。果たして辛亥革命はどこへ行く。
背景と見どころ
辛亥革命の陰の立役者として二人の日本人の名を上げなければならない。宮崎滔天や長崎の梅屋庄吉などである。宮崎滔天の名前は映画にも出てくるが、梅屋庄吉の名前は出てこない。彼は、現在の日本円にして1兆円にも上る援助をしたともいわれ、彼の援助なくして辛亥革命の成功はあり得なかっただろうとも言われている。
スタンフォード大学のある教授で、「政変なり、革命の性格を見るには、金の流れを見なさい」と、金や資金が全てあるかのようなことを言うものもいるが、それは一つの側面であり、それが革命の性格を決定するものではない。資金がどこから出ていようと、その革命の担い手はどこにあるのか。その革命が達成したものは何か。といったことにかかっていることを忘れてはならない。
この映画のみどころは、この映画がドキュメントタッチで史実を忠実に再現しようとしていることだ。それから孫文が何を考え何を思って行動したかを知ることが出来ることである。
この映画の主役はジャッキーチェンが演じる黄興であるように宣伝されているが、商業ベースではやむをえない部分であるが、この映画の主役は「孫文」である。それは誰が演じるかなんていう問題ではない。ちょうど映画の中で孫文が「総統に誰がなるかの問題ではない」と語っているのと全く同じことが言える。逆に私はジャッキーチェンは脇役を見事に演じきったことが、この映画ももう一つの見所だと思う。そこを見失うとこの映画の真価が見えなくなってしまう。
辛亥革命についての詳しい説明は 【中国百科ノート 歴史編「辛亥革命】 ☜ こちらをクリックしてください
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