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2022年3月24日木曜日

番外編:「博士の異常な愛情」の核戦争の予言が現実になる恐怖
    プーチンのウクライナ侵攻の狂気 

「博士の異常な愛情」に見る狂気が現実となる恐ろしさ!

この映画の現在的な意味
 今ウクライナで起こっていることは、前回は最初にこのページをアップした時に恐れた、「北朝鮮とアメリカを巡る核戦争が起こるかもしれない危機的な状況」よりもはるかに切迫し、かつこの危機が現実のものになるかもしれないという緊迫感の中にある。

 アメリカの情報機関の発表によるとこの4,5日がその正念場だという。いまロシアのプーチン大統領の妄想と暴走により引き起こされたウクライナ侵略はウクライナとロシアだけの問題ではなく、全世界を巻き込んだ世界戦争に発展する恐れを秘めている。

 ロシアの長年のアメリカに対する恨み、アメリカがベトナム、アルジェンチン、リビア、イラン、イラクで何をしてきたかが背景にあると思われるが、それにしても今度のロシアのウクライナ侵略はあまりに狂気じみている。この狂気と暴走がが何を招くかこの映画は予測していたともいえる。

  偶発的なことも重なり、核戦争までいってしまう恐ろしさを描いたイギリス映画をあえて紹介します。誰もが見るべきイギリス映画「博士の異常な愛情」をお贈りします。

 


映画の紹介
北朝鮮とアメリカの間に繰り広げられている核戦争になるかも知れない危機的状況。設定は異なるかもしれないが、核による支配を企む気違いじみた博士とその周りの人々が世界を核戦争に追い込んでいく。それを回避しようとする努力が一応為されるが、連絡も絶った一機の爆撃機が、あらゆる防御網をかいくぐって、一発の核爆弾を投下してしまう。

映画データ
出演:ピーター・セラーズ(マンドレイク/マフリー大統領/Dr.ストレンジラブ)
ジョージ・C・スコット(バック・タージドソン将軍)、スターリング・ヘイドン(ジャック・リッパー准将)、キーナン・ウィン(バット・グアノ大佐)、スリム・ピケンズ(キング・コング少佐)

監督:スタンリー・キューブリック


ストーリー
 アメリカのバープルソン空軍基地。その司令官ジャック・D・リッパー准将は部下のマンドレイク大佐に基地を警戒態勢に置くよう指示。その上で空を巡回中のB-52戦略爆撃機34機に「ソ連領域内に侵攻し、搭載した核ミサイルを発射しろ」という命令を下します。全面核戦争への秒読みが始まったのです。
 ペンタゴンの指令など出されていないことが明らかになり、リッパーの独断専行を止めようとします。
 一方、ペンタゴンでは緊急事態に対処するため、ソ連大使を呼びだして戦略室に入れ、その目の前で大統領はソ連の首相と電話で会談しますが、事情を知った首相は激怒。報復手段を取ると宣言。
 アメリカ政府は状況を打開するため、リッパーから通信用の暗号を聞き出そうとリッパーの部屋を攻撃。基地の兵士らとの交戦があった後、リッパー准将は自殺。
 やがて暗号は解読され、ほとんどの爆撃機は引き返すが、1機だけは機器の故障でそのまま目的地に向かって侵攻する。爆撃機は核爆弾を投下。核は爆発。報復装置が起動されるため、まもなく人類は死に絶えるはず。
 しかし、大統領の科学顧問であるストレンジラヴ博士は、地下深い空間で僅かな優秀な人間だけでも生き残れば、まだ希望はあると熱心に説く。殆どの人間が死に絶えても・・。




背景と見どころ
 この映画は1964年にイギリスで作られている。  この映画は、司令官ジャック・D・リッパー准将と大統領の科学顧問であるストレンジラヴ博士の二人の人物を中心に話は展開する。
 司令官ジャック・D・リッパー准将は部下のマンドレイク大佐に基地を警戒態勢に置くよう指示することから始まる。

 ロシアのウクライナへの侵攻 はロシアのプーチン大統領単独の判断と言われているが、 この映画のジャックリッパー准将とストレンジラブ博士のふたりが、ロシアのプーチンの中で合体かされ、具現化されていると考えれば 、ロシアのウクライナ侵攻の舞台と背景を読み解きやすいのではなかろうか。

 もちろん映画はあくまでもフィクションであり現実に起こっているロシアのウクライナ侵攻はリアルな世界である。全く違う世界にもかかわらず、映画と現実の世界の中に共通性を見ないわけにはいかない。
  一つはロシアのプーチン大統領が、ストレンジラブ博士と同様に 狂気と妄想に支配されているのではないかということである。
 さらにもう一つはロシアのプーチンがロシアという国の最高権力者であり、すべて一人で動かせる位置にあることは映画の中のジャックリッパー准将と 同様であると考える。

  今回の事件が国家という大きな舞台の中で起こった問題ではあるが、 結局は独裁と言う仕組みの中でロシアのプーチン個人の妄想と狂気 に帰着する問題であるからだ。
  どんなに整備され民主的な国家であるにせよ最終的には ほんの一人あるいは一握りの人間の行動をいかに規制しし管理するかという問題になってしまう。

 その仕組みや権力が大きければ大きいほど、その権力を縛り民主的に管理できるかには大きなジレンマが伴う。




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2018年9月22日土曜日

運命の子:史記の物語を映画化。范冰冰が貴婦人として泥沼に咲く

運命の子

中国百科映画館が皆様に中国映画中国映画「運命の子」をお贈りします。
今回はチェン・カイコー監督が「史記」にある春秋戦国時代の「趙氏孤児」を映画化。
 ファン・ビンビンが戦国の血なまぐさい、ドロドロした世界に咲く貴婦人を美しく健気に演じる

映画の紹介
陳 凱歌(チェン・カイコー)監督作品! 『史記』に描かれた「趙氏の孤児」が、2600年の時を乗り越え現代に訴えかける中国時代劇!


映画データ
出演: グォ・ヨウ, ワン・シュエチー, ファン・ビンビン, ホァン・シャオミン, チャン・フォンイー
監督: 陳 凱歌(チェン・カイコー)
言語: 中国語
販売元: 角川書店
発売日 2012/06/08
時間: 128 分


ストーリー
 中国紀元前3世紀、群雄割拠し、世の中は乱れていた。

 有力諸侯趙氏の子供と間違われて、趙氏の主治医の子供と、妻は殺されてしまう。

 主治医は趙氏の子を引き取って大切に育て、その子を使って、自分のこと妻を殺した武将に復習をしようと計画する。

 何も知らない武将は、その子の父親として、その子を溺愛し、時が過ぎその子は逞しく成長した。子供は自分の身の上を知り、愛する父親が実は自分の父と母を殺した敵だと知る。



背景と見どころ
 古代中国、夏・商(殷)王朝が滅び、紀元前11世紀に周の武王が王朝を建てた。その周王朝も紀元前770年に都を移し東周と称せられ、戦国時代に移行する。

 この物語は戦国時代の晋の国、趙氏の滅亡に係る話。時期的には紀元前230年ごろに設定されている。
 春秋戦国時代の歴史的意義は、大きな変革を経験した時代である。

 この時代に達成された製鉄技術の進歩は、武器の長足の進歩と共に、農業技術や農器具にも目覚しい発展を促し、農業生産も大きく発展をした。これはこの時代では産業革命と呼ぶべきものかもしれない。

  周の封建制のお陰で、農民は土地に定着し、農業技術が進歩すると、人々の暮らしが豊かになり、国力も増大する。君主は、より多くの農地と農民を求めて、戦いを繰り返す。

 しかしこれが戦国時代になり、いくつかの強大国にまとめられてくると、まとまった強大な国の中で、血みどろの簒奪戦が繰り返されるようになる。こうして、周辺民族も含め、坩堝の中に入れられた諸民族は、ぐじゃぐじゃに混ぜられた上、やがて大きな統一国家へと発展していく。



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2018年7月8日日曜日

「セデック・バレ」:台湾の山岳部族の誇り高き戦い抗日暴動・霧社事件を描く

セデック・バレ

今回は台湾映画「セデック・バレ」をご紹介します。
 この映画は台湾で野蛮人とさげすまれてきた誇り高き狩猟民族の戦いを描く。長い間、文化とは自らを切り離し、台湾の山岳地帯で、「縄張り」を守って、誇り高い部族意識と優れた戦闘能力と規律ある生活を守ってきた、部族がある日突然日本軍の屈辱的な支配を受けなければならなくなったことからこの民族の悲劇が始まる。民族とは何か、誇りとは何か、人間とは何かを考えさせる映画である。

映画の紹介

セデックバレ:心に残る中国映画セレクション100”
 1930年、日本統治時代の台湾で起こった先住民セデック族による抗日暴動・霧社事件を描く。
 2011年9月に台湾で公開。台湾版アカデミー賞と言われる「台湾金馬奨」最多11部門にノミネートされ、見事グランプリを獲得し、ヴェネチア国際映画祭や大阪アジアン映画祭でも大絶賛されました。台湾史上最高の興行収入を得たというものである。



映画データ
監督 ウェイ・ダーション
脚本 ウェイ・ダーション
製作 ジョン・ウー、テレンス・チャン、ホァン・ジーミン
出演者 リン・チンタイ


ストーリー
映画のテーマ「霧社事件」のあった台湾中部の部落
赤のバルーンのあるところ
 ストーリーはぜひご自身でDVDをご覧になっていただきたい。 映画は、凄まじいほどの迫力を持ってあなたに迫ってくるだろう。
 この映画は、ちょっとした解説で済ますのではなく、映画の中に入り込んでいただきたい。それだけの値打ちがある映画だと思う。


背景と見どころ
 この映画の特筆すべき点は、徹頭徹尾 抑圧された狩猟民族セデック族の立場に立ちセデック族の側から見て、映画が作られているということだと思います。
 「野蛮人には文化教えてやるのだ、彼らの不幸な生活から開放して文明のすばらしさを享受させてやるのだ」という声が聞こえてきますが、この映画では、文化とは何か、誇りとは何か、そして外からやってきて、それを壊して自分たちの文化を押し付ける権利はあるのかなど考えさせられます。


あとがき

 これと同じような事件は後を絶ちません。少しだけ、わが身がセデックバレであったとしたらと、思いを起こしてみると容易に分かるものでは、ないでしょうか。第2次世界大戦後、日本は民族の誇りを護っているといえるでしょうか? 難しい問題ではありますが、われわれの世代で解決せねばなりません。
そのためにも是非この映画をご覧になってください。


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2018年6月5日火曜日

中国映画「赤い鞄」:小学校建設に全財産をなげうって奔走した実話、心を揺さぶる

赤い鞄 チベット、秘境、モォトゥオヘ

中国映画のDVD「紅い鞄-チベット、秘境モォトゥオへ-」を観ました。すばらしい映画です。感動しました。
 昔の淀川長治さんの「いやあ!映画って本当にいいですね」という台詞を思い出しました。日ごろ私たちの回りにあふれる、中国と名がつけば、反日だ、それ共産党だのという「そしりや誹謗」を暫し忘れてしまう映画でした。
それは中国の国家の思惑もあるでしょう。プロパガンダもあるでしょう。しかしこの映画はしばしそのような「雑音」を忘れ、純粋無垢の気持ちにさせてくれます。
 このような映画を見ると、私たちの中国人感と現実との乖離を感じさせてくれます。



キャッチコピー
 中国最後の秘境と呼ばれるチベット自治区の山奥、墨脱(モォトゥオ)を舞台にしたアドベンチャー・ロード・ムービー。物語は、墨脱の過酷な実情を知り、私財をはたいて現地に小学校を建てた実在の老人の実話を綴ったルポルタージュ『走進墨脱』が基になっている。

映画データ
製作年: 2003年
製作国: 中国
原題: 心跳墨脱/STIRRING TRIP TO MUTUO

出演者/監督・スタッフ
監督: ハスチョロー
出演: スン・ミン[俳優] 、ボオ・ホン 、パイマーチュエツァ、スン・ミン 、パイマーチュエッツァ


ストーリー
左の地図は、墨脱(モォトゥオ)がどこになるか示すため、馴染みの深いラサを圏内に入れて抜き出したものである。地図でも分かるように、墨脱(モォトゥオ)は中国とインドの国境付近にあり、この地域の一部はインドが実効支配をしているところもあるという。
 この地域には、少数民族のメンパ族が多くすむ所でもある。
 地図上の赤いバルーンのあるところが、墨脱(モォトゥオ)である。

 上海の新聞記者ワンは、秘境・墨脱に私財で学校を建てた老人の話を耳にして、その老人への取材を試みることに。
 麓の村までやって来ると、その老人が働く小学校の校長、持病を持つ老人を診察するために来たわがままな女医などと合流
 彼らと一緒に墨脱を目指して旅を開始する。しかし、そんな一行の前には数々の危険と困難が待ち受けていた。


背景と見どころ
 この映画の舞台は、5000メートルの高地にある小学校を目指して厳しく、過酷で想像を絶する旅が続く。初めは行くのを渋っていた担ぎ屋の親方や生粋の上海育ちのわがままな女医さん達も、老人を慕う校長の熱意に突き動かされ、共にはるか離れたモォトゥオに向かう。しかしその旅路は、高山病や、山蛭、歩幅もないがけっぷちの岩場、底なしの沼地など苦難の連続であった。
 しかし一向は、老人hが苦難を押して戦い続ける姿に突き動かされ、、子供たちを安全に学校に行かせてやりたいという純粋な気持ちを抱いて、そしていつか厳しいけれども雄大な自然に抱かれて旅する中で一体感が生まれ、この困難なたびを踏破する。
 誰もが見て欲しいすばらしい映画だ。





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2018年6月1日金曜日

中国映画「一輪明月 ~弘一大師の生涯」:漫画を世に送出した豊子ガイとの麗しい師弟関係

一輪明月 ~弘一大師の生涯

中国映画のDVD「一輪明月 ~弘一大師の生涯」を観ました。

 この映画は、清朝末期から日中戦争末までを生きた禅宗の高僧で、芸術家でもあった、弘一大師の波乱に満ちた生涯を描いたものです。 日本ではあまり有名ではありませんが、中国では中国の近代芸術を開いた禅宗の高僧として広く知られて、深い尊敬をを受けています。彼の薫陶を受け、中国で「漫画」というジャンルを確立した豊子愷が羽ばたいています。
 中国映画「弘一大師の生涯」は2005年に製作されています。主人公の日本人妻として、ビビアン・スーが起用されています。


映画のキャッチコピー
 孤高の天才芸術家・弘一大師の生涯を描く人間ドラマ。天津の裕福な家庭で妾妻の子として育った李叔同は、25歳で日本に留学し芸術を学び、その後の中国芸術界に新風を吹き込む。日本人女性との結婚、仏教への傾倒、出家、妻との別離までを綴った感動作。


映画データ
製作年: 2005年
製作国: 中国
原題: A BRIGHT MOON

監督: ルー・チー 、 路奇
出演: プー・ツンシン 、 ビビアン・スー(徐 若瑄) 、 リー・ジエンチュン 、 マー・シューリアン 、 グー・ハイビン 、 マー・シューリャン
ストーリー
 この映画は弘一大師の生涯を忠実に描いた伝記である。
 しかし、いくら伝記ものといえ、時代背景のぶつ切りの節目節目をつなぎ合わせただけの、ある意味粗雑なつくりになっているのは残念。
 また、その間の主人公の心の葛藤と時代背景との関連が描かれていなく、主人公の行動が分かりにくいものになっている。く

背景と見どころ
 物語は、清朝末期太平天国の乱等で、社会は大きく乱れる時代を描く。清朝は、李鴻章の地方軍閥「淮軍」、曽国藩の「湘軍」等の力を利用し、押さえ込もうとするが、命脈の尽きた清朝を立て直すことは出来ず、社会は乱れに乱れることとなった。
 この映画は、1880年主人公が生まれた年から、1911年の辛亥革命、袁世凱の台頭、国民政府の成立、日本の侵略、日中戦争、太平洋戦争までの主人公の生きた動乱の時代を背景に主人公の生涯を描き出す。
 また、弘一大師の弟子である、豊子愷は日本の竹久夢路にも師事した画家であり、「漫画」という題つきの線画という新しいジャンルの確立に貢献をしている。この映画でも、弘一大師と豊子愷の師弟関係が描かれており興味深い。
 また、もう一つ残念な点は、この映画が全体的に荒削りで、緻密さにかける点である。昔の創世記の映画ではあるまいし、もう少し丁寧な描き方をして欲しかった。

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2018年4月3日火曜日

中国映画「唐山大地震」:監督 フォン・シャオガン 大災害の前に人間は人間でいられるのか

中国映画のDVD「唐山大地震」を観ました。文句なしの感動です。


映画データ
出演: シュイ・ファン, チャン・チンチュー, リー・チェン, チェン・ダオミン
監督: フォン・シャオガン(馮小剛)
販売元: 松竹
発売日 2015/08/05
時間: 135 分

ストーリー

 1976年7月28日、文化大革命の嵐もようやく収まり、世の中が平穏を取り戻しつつある時に事件は起こる。

 唐山市を未曽有の大地震が襲った。突然、金魚鉢の魚が暴れて外に飛び出すような異変が起きるとすぐに、夜空が強く光ったと思うと、大音響と共に激震が走る。この世の全てのものを叩き潰すような激しい揺れ。

 倒壊する建物の中で夫を失った母は、狂乱のようになっている時、双子の姉弟が瓦礫の下にいるという知らせに現場に赴く。

 そして、同時にどちらか一人しか助けられないというあまりにむごい選択を迫られる。苦渋の中で「息子を・・・」と泣き崩れる母親。だが、その苦渋に満ちた声に瓦礫の下の姉は深い絶望と悲しみに涙を流していた。

 息子は腕を切断しながらも命をとりとめ、娘は死体置き場に放置される。

 時は流れ、母親は家族を失った喪失感と娘を見殺しにしてしまった罪悪感に苛まれながら、残された息子を女手ひとつで必死で育てていた。そして娘も奇跡的に命を取り留め、養父母の元で成長していた。

 そして、32年の歳月を経て、離れ離れの母子の運命が大きく動き出す。今度は四川省で大地震が勃発し、上海とカナダで全く別々にその実況に接した兄弟は、吸い寄せられるように、救援に四川省に向かう。


映画の見どころ
 この映画は自然現象に翻弄される人々、あまりにむごい決断をせざるを得なかった母親、見捨てられた娘、姉の代わりに助けられたという負い目を背負わされた弟、そして姉を引き取り実の娘のように育て上げた養父母、それぞれが抱える悩みや苦しみをじっくりと聴衆に訴えかける。

 自分の生き様に容赦なく自省を迫ってくる。「お前は、どうなんだ。お前の生き方はそれでいいのか」と。

 これらは、後付のたら話といわれるかも知れないが、それでもなお・・・。  

致命的な状態に陥ると陥らない状況の間にはそんなに大きな差はないと感じる。ほんの僅かな差が生死を分ける。「災害に見舞われたとき、最初の一撃を受けないように最大限の注意を払うようにするべきだ」ということが身に染みて感じさせられる。
 同時に人間は、究極の災難に見舞われたときに、わが身を忘れて助け合うものなのだということに確信が持てて、人間て捨てたものではないと思っている。
 命さえあれば、道は開けるものなのだと思う。

映画の背景
 この映画が撮られたのは冒頭にも触れたように、文化大革命が終息した後に作られている。もし、これが文化大革命中に起こっていたとしたら、どのような結果を引き起こすであろう。考えるとある意味ぞっとする話だ。どんなときにも人間がベースにないとだめだと改めて感じた。

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2018年2月22日木曜日

中国映画「さらばわが愛 覇王別姫」:この映画を見ずして中国を語ること勿れ!!

「さらばわが愛 覇王別姫」

こんにちは! 中国映画『さらばわが愛 覇王別姫』を見ずして中国を語ること勿れ!!
 無条件にすごい映画です。この映画『さらばわが愛 覇王別姫』を見ずして、中国映画を見たことにはならない。中国社会の矛盾を真正面に据え、重厚に且つ芸術的に人々に訴えかけてくる映画です。また、この映画『さらばわが愛 覇王別姫』は、レスリーチャンなくしては作り得なかった映画ということができると思う。

映画の紹介
 この映画『さらばわが愛 覇王別姫』は、辛亥革命の後、清朝が倒れ、人々の生活が安定さを失っていく頃から、国民政府によ中華民国が成立し、日本の侵略、そして国民政府に変わって、共産党政権が樹立する。文化大革命が終了し、京劇が復活されるまでの約半世紀に亘る、二人の京劇の役者の苦闘の物語である。梅蘭芳という京劇の名優をモデルに、京劇俳優の目を通して、生活のため、人々の文化的な営みが脇に押しやられる様を描き出していく。

映画データ
監督:陳凱歌
キャスト: 張國榮(レスリーチャン)、張豊毅、鞏俐


ストーリー
 清朝の末期、人々の生活は、困窮の度を極め、町には浮浪者や乞食があふれていた。別々であるが、二人の少年が親に捨てられるようにして、京劇の一座に預けられる。一座の親方の厳しいしごきに堪え二人は京劇俳優の程蝶衣と段小樓として名を成す。女形の蝶衣は段小樓を愛していたが、彼は娼婦と結婚してしまう。そして映画『さらばわが愛 覇王別姫』は時代の波に飲まれながらも、愛と演劇を貫く男たちの苦闘がつづられる。


背景と見どころ
 この映画『さらばわが愛 覇王別姫』は、辛亥革命から、国民政府、日本の侵略、新中国の誕生、文化大革命という歴史の激動を通して社会が大きく変わっていく様が丁寧に描かれている。小樓と蝶衣の間に菊仙という女性の三人のドロドロとした愛憎劇もまた見所。純粋に京劇の美しさを楽しむことが出来る。そして蝶衣を演じるレスリー・チャンの妖艶な美しさも最大の見所の一つではないだろうか。



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2017年11月24日金曜日

中国映画「無言歌」:当時国内にあった封建残渣との思想闘争が必要であったのは分かるが、これは闘争ではなく思想弾圧だ。

中国百科映画館 「無言歌」

近代中国が犯した誤りは?残っているのは『人間不信』だけ!

「右派」のレッテルを貼られた人々が、
砂漠の労働改造所の中で人間性を
そぎ落とされつつも上げる悲痛な生の叫び
 とにかく凄まじい映画であった。中国の砂漠の中の収容所での人間性をそぎ落とした生活を強いられた人々。彼らがどのように生き、どのように死んでいったかをドキュメンタリー風のタッチで、追い求める。

 朝鮮戦争が終わって間もない中国で、「百花斉放・百家争鳴」(あわせて「双百」とも言う。)が唱えられた。呼びかけに応えた人々が辿った過酷な運命。予想外の反発に驚いた毛沢東は、発言者に「右派」のレッテルを貼り糾弾した(「反右派」闘争)。

 この物語は、この「右派」のレッテルを貼られた人々が、甘粛省の砂漠の「収容所」の中で、虫けらのように命を落としていった物語である。

 今回は中国国内では公開されない、近代中国の恥部を告発したドキュメンタリー映画をご紹介します。

 とにかく今まで見た映画の中で、とりわけ衝撃的で、言い表しようのない想いでこれを書いています。


映画の紹介
 この映画の舞台は、中国甘粛省の砂漠の中の夾辺溝というところの収容所である。

 砂漠の中に掘られた穴倉の中に詰め込まれ、薄い粥だけが支給され、過酷な労働の中で、心身ともにぼろぼろになっていく。空腹のために、砂漠に生える草を食べ、ねずみを捕まえ食糧にする、死んだ仲間の肉をそぎ落として食べることまで密かに行われる。

 そのような中でも、多くの人たちは、獣に成り下がることとなく、僅かに残った人間性を保っている。逆に、私は「人間ってすごいな」と思う。

 映画は、そのような人々を、残酷なまでに描き出していく。決して面白可笑しい映画ではないが、時には見てほしいと思う。


映画データ
日本語題:『無言歌』(むごんか、原題:夹边沟、英語題The Ditch)
監督:王兵 2010年の香港・フランス・ベルギー合作の映画。


ストーリー
この映画にはストーリーはない。ストーリーが描けるような生易しいものではない。


背景と見どころ
 1950年代後半、中国国内で社会の不満が噴出していたことに、指導者の危機感を高めた。

 毛沢東は、人民内部の矛盾を解消するため、一種の「ガス抜き」の方策として「百花斉放・百家争鳴」(双百)を打ち出し、広く大衆の意見を求めた。 当時は、2000年も続いた、専制君主の支配からようやく抜け出し、辛亥革命を経て、内戦を経て、まだそれ程も経っていないじきである。国内には封建残渣が色濃く残り、ようやく統一国家として歩みだそうというときである。外部には資本主義国が手ぐすねを引いて、封じ込めを狙っている重要な時にあった。国家として一致団結をして進まねばならないときにあって、指導者としてセル気持ちは十分にわかる。 そこまではまだいい。結果的に人々をだましたことである。これによって、共産党に権威を地に落とし、言いようのない不信感を植え付けてしまった。やむを得ないといえばそういう側面もあるが、もう少し何とかならなかったか。ある種のもどかしさを感じる。中国の懐の深さはどこに行った?

 この映画は、この「双百」に呼応して声を上げた知識人達の受難の物語である。




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2017年8月21日月曜日

「再開の食卓」:第6世代の王全安が贈るベルリン国際映画祭の受賞作品

再会の食卓

第6世代の王全安が贈るベルリン国際映画祭の受賞作品、戦争に翻弄された庶民の生活を描いた中国映画「再会の食卓」
台湾海峡を隔て、引き離されて40年、新婚の夫婦の再会。失った年月は取り戻せるのか? また取り戻すことに意味があるのか?二人がそれぞれに悩んで導き出した結論は?


映画の紹介
 引き離されて40年、新婚1年の夫婦の再会。果たしてタイムカプセルのように失った時間を取り戻せるのだろうか。ベルリン国際映画祭の受賞作品。主演の女優、その現在の夫、いぶし銀の如くしぶい光を放つ。決して光りすぎずかといってくすんでもいない。

映画データ
製作年:2010年
製作国:中国
原題:APART TOGETHER

出演:リン・フォン 、 リサ・ルー 、 シュー・ツァイゲン 、 モニカ・モー
監督:ワン・チュアンアン(中国名:王全安)

監督:ワン・チュアンアンについて
ワン・チュアンアン(中: 王全安, 1965年10月16日 - )
中国映画界の「第六世代」の監督として知られる。
生まれ: 1965年 · 陝西省
配偶者: キティ・チャン (2011年 年結婚)
学歴: 北京電影学院
映画: 再会の食卓 ·トゥヤーの結婚
ストーリー
 上海で暮らす玉娥(ユィアー)一家に、台湾で暮らす玉娥の元国民党軍兵士の元夫・燕生(イェンション)訪中団の一員として尋ねてくる。建前は、儀礼的なものだが、本音は玉娥を台湾につれて帰ること。
 台湾で暮らす燕生は妻を近年亡くし、一人さびしく暮らしていた。昔上海で戦争の混乱の中で引き離された妻の玉娥のことが忘れられない。
 玉娥と燕生は昔生活した場所などを一緒に訪ねるうちに玉娥は過ぎし日を取り戻し、燕生と共に台湾に渡ることを夢見るようになる。しかし、一方では、現在の夫・善民(シャンミン)と子どもたちとすごした40年間を白紙に戻すことが出来ないでいた。
 40年の月日の経過は、そんなユィアーの家族たちにとっても、イェンション自身にとっても重苦しくのしかかる。
 夫・善民は寂しさを抱えながらも、妻の幸せを願い、妻を台湾に送り出そうとする。
 燕生は玉娥とその家族との話し合いを粘り強く重ねるうち、ある結論にたどり着く。


背景と見どころ
 いろんな事情で引き離された夫婦であっても、現実に過ぎ去った期間を簡単には消し去ることは出来ない。自分自身の思い、子供たちの想い、思惑、社会制度上の制約など等。

 三人が下した結論ではあるが、それに委ねるしか他に道はない。それにしても、夫婦愛を見事に浮かび上がらせた作品は素晴らしい。




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2017年7月24日月曜日

母と子の愛情を切々と描きあげた「山河ノスタルジー」

山河ノスタルジー

この映画の原題は「山河故人」
 時代を越えて変わらないもの―母が子を想う気持ち。それでも変わり行く眼前の風景や周りの人々。自分は誰だろうと思ってしまうのは中国人も日本人も同じ。原題の方が日本語題よりずっとぴったり来る。


映画の紹介
 なにもかも急激に変貌を遂げる中国。その中で人々の心もまた変わっていった。離れ暮らす母と子。母はひとり故郷で、異国の地の子供を思い続ける。
息子は心のどこかで、母の面影を探している。
母と子の強い愛は陰線、出会う人との愛は陽線。変わりゆくこの世界を陰線と陽線が織りなす。変わらぬ想い。



映画データ
原題: 山河故人
出演: チャオ・タオ, チャン・イー, リャン・ジンドン, ドン・ズージェン, シルヴィア・チャン
監督: ジャ・ジャンクー
形式: Color, Dolby 言語: 中国語
字幕: 日本語
リージョンコード: リージョン2 (このDVDは、他の国では再生できない可能性があります。詳細についてはこちらをご覧ください DVDの仕様。)
販売元: バンダイビジュアル
発売日 2017/01/06
時間: 127 分


ストーリー
 1999年、山西省・汾陽(フェンヤン)。 小学校教師のタオは、炭鉱で働くリャンズーと実業家のジンシェンの、幼なじみの二人から想いを寄せられていた。 やがてタオはジンシェンからのプロポーズを受けいれ、息子・ダオラーを授かる。
 2014年。タオはジンシェンと離婚し、一人汾陽で暮らしていた。ある日タオは急死した父の葬儀を機にダオラーを引き取ろうとする。しかし余りに長い時間は、もはや母と子の関係を維持できなくなっていた。
 そして、二人はまた離れ離れに。時は流れ、2025年、オーストラリア。
 19歳になったダオラーは長い海外生活で中国語が話せなくなっていた。父と子の会話も通訳が必要に。
父親と確執がうまれ、自らのアイデンティティを追い求める中、中国語教師ミアとの出会いを機にミアの中に母の陰線を見出し、ミアと結ばれる。ダオラーはかすかに記憶する母親の面影を探しはじめる。


背景と見どころ
左の地図の赤線で囲ったところが山西省・汾陽である。この映画の舞台は、田舎も田舎。開発に取り残された街である。
 この街から西南西300Kmのところに延安がある。延安は中国共産党が国民政府に追われ、行き着いた先である。これは長征として歴史でも名高い事件である。
 もう少し説明するとこの街から北東約150Kmのところに、山西省省都の太原がある。この地方は石炭の産出地であり、良質の石炭が産出される。(大同炭鉱)。この映画にも出てくるような炭鉱は、民間の小規模炭鉱が多く、杜撰な管理体制が問題となっている。
 もう少し北に行くと大同があり、「雲崗石窟」で世界遺産になっている。





大同の「雲崗石窟」の詳しい説明は 【三大石窟】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年7月22日土曜日

日中戦争前夜の混乱期を生き抜く夫婦。ジャッキーチェンの両親がモデルの中国映画「三城記」

三城記

ジャッキーチェンの両親が国民党軍、日本軍、共産党ゲリラの三つ巴の戦いの混乱の続く地獄のような中国社会をいかに生き抜いたかを描いた中国映画「三城記」をお贈りします。
「三城記」の三城は安徽省、上海、香港と両親が戦乱を逃れて渡り歩いた都市を指します。


映画の紹介
 この映画を見ると平和の大切さを実感します。私はこの映画は反戦映画だと思います。
メガホンを執ったのは、「宋家の三姉妹」などで知られるメイベル・チャン監督。虐げられるものへのやさしい視線を感じる。


映画データ
出演者:ラウ・チンワン、タン・ウエイ
監督:メイベル・チャン(張婉婷)
収録時間:131分
原題:三城記

メイベル・チャンは、香港の映画監督。
生年月日: 1950年11月17日 

生まれ: 中華人民共和国 広東省
パートナー: アレックス・ロー (1986年から)
学歴: ニューヨーク大学 (1981年 - 1982年)、 香港大学
受賞歴: Hong Kong Film Award for Best Director、 Golden Rooster Award for Best Co-Produced Feature

作品
非法移民(1985年); 誰かがあなたを愛してる(1987年); 八両金(1989年); 宋家の三姉妹(1997年); 玻璃の城(1998年); 北京ロック(2000年); 失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン(2003年)
ストーリー
 ジャッキーチェンの父親は山東省に生まれ、安徽省、上海、香港へと流れていく。それも決して自分の意志ではなく、戦火から流れたり、家族を護るため。ダオロンが母親のユエロンをアヘンの取引で尋問した時、このご時勢多少のことは責められないといって釈放してしまう。
 それをきっかけとして二人は次第に係るようになり、やがて二人力合わせて、ひたすら「生」を求めて生き抜く。生易しいストーリーではなく、凄まじい展開だ。
 この二人に係ってくる廃品回収の青年が出てくるが、彼の姿がこの映画の中ではもう一つの「赤い糸」として鮮やかにストーりーを際立たせている。


背景と見どころ
 この映画のテーマは戦争の中で、苦しみながらも、逞しく行きぬく庶民の群像。日中戦争は間違いなく日本が仕掛けた全面戦争だ。
 映画の中では、国民政府がいろいろ狼藉を働く場面が出てくるが、この時代の上海は、日本、国民政府、共産党の抗日部隊が三つ巴の戦いを繰り広げていた。
 そのような背景があったからこそ、廃品回収の青年がダオロンの命を助けるために共産党のゲリラ部隊に援助を申し出て、大量の時計を譲り受け、金に換えるという話が生きてくる。そしてその青年は、恩返しとして、爆薬をトラックに積み込んで国民党軍の中に突っ込んでいく。
 考えさせられるシーンだ。




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2017年7月18日火曜日

パンダの子供が可愛いディズニー映画「Trail of PANDA(パンダ母親の下へ)」

Trail of the Panda(原題:熊猫回家路)

 中国から借りてきたパンダが、上野動物園で赤ちゃんを生み、名前が募集されている。いまや中国でも、パンダ外交の主役として、中国の外交では重要な位置づけになっている。ここで紹介する中国・四川省で撮影された中国のパンダを主役にしたディズニー映画「パンダ家に帰る」(筆者の独断訳)。このパンダも本当に可愛い。

映画の紹介

中国映画ではないが、中国でロケがなされ、カバーが気に入ったので、強引かも知れないが取り上げた。
 登場人物は主人公の男の子、陳叔父さん、科学者の3人と非常にシンプルである。中で話される中国語も、子供の会話が多くの部分を占めるので、非常にわかりやすく、中国語学習者にはもってこいの教材です。


習うより慣れろ!というじゃありませんか。
これを中国語では「熟能生巧」といいます。日本人には、通訳なしで理解できますね。


映画データ
言語: 北京語(中国語)
字幕: 英語
リージョンコード: リージョン1 (アメリカ合衆国およびカナダ このDVDは、他の国では再生できない可能性があります。(テレビではよみこめなかった)

画面サイズ: 1.85:1 ディスク枚数: 1
販売元: Walt Disney Studios Home Entertainment
配役
小卢: 原島大地(中国で活躍する)
老阵: 张琪
科学者:冯瓅(「孔雀」という映画で好演)


主演の男の子のデータ
実にかわいくなかなか芸達者な子供と思ってたら、日本人ということで、特別に書き出してみた
男演员:原島大地
出生 1997年10月24日(19歲) 日本東京
职业 演員、學生
语言 國語、粵語、日語(ここで言う国語は中国語、粵語はざくっといって広東語、日語は云わずと知れた日本語です。)つまり彼は3ヶ国語も喋る 今はやりの言葉で「すご~い!」
教育程度 中學
出道作品 電影:《母親快樂》
活跃年代 2002年-2012年


ストーリー
 話は中国の奥地・三国志の舞台、四川省。科学者とガイドの猟犬に追い立てられた子供のパンダは逃げる途中、木から落ちて体力を消耗し、危うく捕まりそうになる。
 たまたま通りかかった少年が保護し、世話をするうちにパンダと心を通わせる。パンダの体力は無事回復するが、見つかり捕獲されてしまう。少年は機転を利かし、パンダを無事逃がすまでの物語。  ストーリーとしては特に取り立てて、言うほどのこともないが、とにかくパンダの子供が可愛く、見るだけで心休まる。癒し系の作品。



背景と見どころ
少年がパンダの世話をするところが、微笑ましいし、いじらしい。またパンダの体力が回復したときに少年が見せたうれしそうな表情はなんともいえない。
 ディズニー映画ではあるが、立派な中国映画だ。変にアメリカ色を出さず、中国の映画に徹していることがいい。  この映画の撮影中に(2008年)、四川大地震が発生した。この映画にも出ていたパンダも罹災したとのこと。



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2017年7月8日土曜日

二人の兄弟が砂漠をラクダで旅する 中国映画★僕たちの家に帰ろう★

僕たちの家に帰ろう

映画の紹介

 少数民族ユグル族の兄弟の物語だが、このたびを通じて、中国の農村の砂漠化、出稼ぎ農民の問題など中国の抱える「三農問題」が浮かび上がってくる。

映画データ
出演: タン・ロン, グオ・ソンタオ, バイ・ウェンシン
監督: リー・ルイジュン
形式: Color, Widescreen
字幕: 日本語
ディスク枚数: 1
販売元: オデッサ・エンタテインメント
発売日 2016/08/03
時間: 103 分


ストーリー
 ユグル族の幼い兄弟・バーテルとアディカーは、遊牧を生業にする父母と離れて、祖父に預けられて暮らしていた。兄弟達の住む家も、砂漠が町に迫り、生活が厳しくなっていた。祖父は高齢のため亡くなってしまう。
 二人だけになった兄弟は、二匹のらくだと共に父母のいる家を目指し旅に出るのだった。馬ではなく駱駝というのがなんとも。しかし、そのらくだの旅は生易しいものではなく、果てしなく続く砂漠と廃墟の中をひたすら水を求めながら、河西回廊を今は枯れた河を辿りながら進んでいく。これは馬では絶対不可能。そして苦難の果てに何とか父親の元に辿りつく。そこで見たものは、自分たちが夢にまで見た青々とした草原ではなく、行く筋もの煙を吐き続ける精錬工場群であった。



背景と見どころ
 少年二人が歩いた道は、かつて東西をらくだの行商たちが歩いた、古代シルクロードの一部としてかつて繁栄した中国北西部“河西回廊(かせいかいろう)"なのだ。
 現代の日本の子供たちでは絶対に頭に浮かばないことをやってのける、幼き兄弟のたくましさ

 そして中でも弟の逞しさ。お兄ちゃんはどっちか言うと軟弱。
 ユグル族の幼い兄弟の両親のもとへ帰る道中、様々な出会いと別れを経験し成長していく姿
 雄大な自然を破壊していく人間の営み!
 一大国家を築いた歴史を語る廃墟!
 滅びゆく民族と文化への哀惜。
 社会を発展、環境破壊の問題も!そして農業と砂漠化



ユーグ族に関する詳しい説明は 【モンゴル族系 ユーグ(裕固)族】 ☜ こちらをクリックしてください

河西回廊に関する詳しい説明は 【地理編 西北地方 甘粛省・河西回廊】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年7月1日土曜日

チャンイーモーが中国映画「妻への家路」に込めた密やかなるメッセージはなに?

妻への家路

映画の紹介
チャン・イーモウ監督×コン・リー主演の新たなる最高傑作が誕生!
アン・リー、スピルバーグなど、世界の巨匠達が絶賛! カンヌ、トロント映画祭など13もの映画祭にて拍手喝采で称えられた感動作。
近くに居ても心を通わすことができない、この世でも最も切ない夫婦の愛の物語に号泣必至!


映画データ
原題:『帰来』
出演: コン・リー, チェン・ダオミン, チャン・ホエウェン, チェン・シャオイー, イエン・ニー
言語: 中国語
字幕: 日本語
監督: チャン・イーモウ(張芸謀)

チャン・イーモウについて
映画監督:張 芸謀 は、中国の映画監督。
中国映画界の「第五世代」の監督として知られる。
また、撮影監督、俳優の経験もある。
生年月日: 1950年4月2日
生まれ: 中華人民共和国 西安市
受賞歴: 金熊賞、 金獅子賞、 カンヌ国際映画祭 審査員特別グランプリ

ストーリー
 1977年、荒れ狂った文化大革命が終結した。
 無実の罪から開放されたり、強制労働から解放された人々も帰り、世の中は徐々に落ち着きを取り戻す。20年ぶりに解放された夫は妻との再会を果たすが、妻は長い長い心労の余り、夫だけの記憶を失っていた。  夫は出来るあらん限りの手を使い、妻の記憶を呼び戻そうとするが、妻は間近にいる夫を夫として認識せぬまま、「夫」を来る日も来る日も駅に出迎えに行く。
誰よりも愛し合い、誰よりもお互いを求めるものの、妻は夫を認識せぬまま、老いを迎えていく。


 しかし妻の記憶喪失は単に待ちわびただけではない、彼女の記憶喪失の直接の原因には、もっと恐ろしいことが彼女の身の上に起こったことを夫は知ってしまう。
 そのことを明らかにするためにその男・「方」某のところに向かう。しかし彼を待ち受けていたものは、その加害者と思しき方某も何処かに拘束され、妻もその夫を待ちわびているという現実だった。その男は加害者であると同時にそのその妻と共に被害者だった。
 この「方」という苗字だが、この漢字には固有名詞以外のある思いが込められているように思う。つまり一般名としての「方」だ。日本でもこの漢字は、同じ使い方をされるが、方向をあらわす。
 私は監督やこの作品の作者は、この「方」という名前に、あの方面の方という意味を込めている。あの方面というのは、権力者を指しているのではないかと思う。そして、この「方」は、映画の中では姿を現さない。妻にとっては、ぞんざいには扱えない影の存在だ。妻が自分自身を見出そうとすると必ず邪魔をする。

 文化大革命の中国の人々残した傷はどこまでも深く癒されることはない。そのその重い現実を監督はラスト・シーンで静かなメッセージとして我々に語りかける。

文革への内省的視点
チャンイーモー監督が我々に深いメッセージとして残したのは、中国の大家である「巴金(1904~2005年)」と同じ視点だと思います。
彼は文革で他の作家と同じく迫害されたが、文革後、自らを単なる被害者ではなく加害者だとして、深い内省と批判を『随想録』(1978-1986)に綴り、文革博物館の建造もよびかけた。(1985年国立現代文化館)

巴金について、詳しい説明は 【「中国百科 文化・芸術」第10章文学 「現代中国の作家たち」】 ☜ 
こちらをクリックしてください

背景と見どころ
 文化大革命が、中国の人々に与えた傷は今でも癒えることなくどこまでも深く深く、人々の心を「蝕んでいる」。


中国の映画人がこの文革の中で受けた迫害について、詳しい説明は 【「中国百科検定攻略ノート 「文化大革命と映画界」】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年6月30日金曜日

中国人の中年の男女の大人の中国映画「花様年華」トニー・レオンとマギー・チャンの抑えた演技が光る

「花様年華」

成熟した中国映画の渋さを見せ付ける秀作。返還前の香港の浮世に漂う大人の男女の愛情は、「一線を越えた越えない」といった薄っぺらな話ではない。

映画の紹介
花様年華
「四十にして不惑」という言葉があるが、この映画は、まさしく不惑と煩悩との間をさまよう、渋い男と女の物語だ。そして、彼らは最後は不惑の世界に留まり、それぞれの道を何事もなかったかのように歩みだすことだろう。誰でもこうありたいと思うが、なかなかそうはいかないのが人生。この映画を一言で表せといわれたら「渋い」。それ以外の言葉は見つからない。

映画データ
出演: トニー・レオン, マギー・チャン, スー・ピンラン, レベッカ・パン, ライ・チン
監督: ウォン・カーウァイ(王家卫)
 略歴:1958年、上海に生まる。5歳で香港に移住。
 香港理工学院入学、グラフィック・デザイン(専攻)
 その後映画の脚本家を経て監督。

■ウォン・カーウァイ監督の作品
1988年、「いますぐ抱きしめたい」で監督デビュー。
1990年代、「欲望の翼」「恋する惑星」「天使の涙」などの青春群像劇を独特の語り口調と個性的な映像美で注目を集める。
2000年、「花様年華」
2000年代~「2046」「グランドマスター」など。

ストーリー
1962年、香港。
新聞社の編集者であるチャウと商社で秘書として働くチャン夫人。
二人は同じアパートに同じ日に引っ越して来る。
やがて、二人は互いの伴侶が不倫関係にあることに気付き、秘密の時間を共有していく…。



背景と見どころ
 この映画の題名「花様年華」は「花のようなきれいな時期」の意味で、「青春時代」を指す場合が多いということだが、青春というには少しトウが立ちすぎている気がするのだが・・。
 この映画の舞台設定は、1966年、香港。このころの香港といえば、中国への返還を控え、市民レベルでも、自分達の将来を見据え、どう動くべきかを見極めようとしていた時だ。映画の中にも、主人公のアパートの女主人がアメリカの娘の下へ行くという会話やシンガポールへの移住の話、みんな出て行くという会話の中にも出ている。当たり前かもしれないが、誰も中国に返還されるのだということを現実に感じていないようなところがある。中国はこのころは未だ文化大革命の真っ最中だった時代。
映画ではある種の閉塞感が全体に醸しだされていた。これも時代を反映した作品であった。




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2017年6月25日日曜日

返還前の閉塞感漂う香港で苦しむチンピラの純愛を描く中国映画「いますぐ抱きしめたい」

いますぐ抱きしめたい

映画の紹介
私がおすすめするのは、「いますぐ抱きしめたい」だ。最初は題からどんなかわいい映画かなと思ったら、中身は「やんちゃ」な映画だと感じた。しかし、はやり面白かった。最初は、この「抱きしめたい」というのは,誰を抱きしめたかったのか?はっきりしなかった。

 しかし、原題が「旺角卡門」(オウカクのカルメン)であることを知って、映画の意図と監督の云いたいことが何かを読み取ることが出来た。
 これは単なる、街のチンピラの恋と暴力を描いたものとは違い、イギリスの植民地の中の閉ざされた租界「旺角」の中の民衆のやりきれない閉塞感を代弁したものだ。
 香港映画界の鬼才、ウォン・カーウァイの監督デビュー作。
 キャッチフレーズは「香港の暗黒街に生きる青年の姿を独自の映像感覚で切り取った痛切なラブストーリー。」であるが、この話に終わらせてはいけない気がする。アンディ・ラウ、マギー・チャンが共演。



映画データ
原題:旺角(英語読み:モンコク)卡門(日本語の意味は、モンコクのカルメン)
ジャンル :ロマンス, ドラマ, アジアの映画
主演 : アンディ・ラウ, マギー・チャン, ジャッキー・チュン, アレックス・マン
監督 : ウォン・カーウァイ (王家卫)
言語: 広東語
字幕: 日本語
製作:1988年
時間: 99 分

ウォン・カーウァイについて
簡体字 王家卫(因みにこの漢字の読みは中国語の北京語によるものではなく、広東語の発音である)
出身地 中国香港
生誕 1958年7月17日 中国上海
職業 映画監督、脚本家
活動期間 1982– 
略歴 中国・上海出身、五歳のときに香港に移住。香港理工学院へ入学、グラフィック・デザインを学ぶ。卒業後テレビの現場を経て、脚本家として映画界にデビューした。

ストーリー
 香港の大繁華街モンコクに住む従兄アンディを訪ねたマギーは、ギャング組織を抜け出せずに、すさんだ生活を送っている彼に反発しながらも、心ひかれるものを感じていく。
 度重なる抗争に嫌気が差していた彼もまた、彼女のもとに身を寄せるように。しかし彼は、弟分ジャッキーの危機を知り、ジャッキーを思い留まらせようとある思いを秘めて、再び暗黒街へと向かった…。



背景と見どころ
 この映画が作られたのは1988年で、香港返還前である。この時は香港島と半島ともにイギリスの疎開地であったが、この映画の舞台となった地区は、当時の警察権も及ばない無法地帯であった。
 この映画はこの特殊な界隈の危険な状況を良く描き出していると同時に、その暗黒街の泥の中に生きる青年のうめき声が聞こえてくるようだ。




2017年6月22日木曜日

見るものの心が洗われる「北京ヴァイオリン」

北京ヴァイオリン

映画の紹介
 おすすめの映画、こころ洗われる映画だ。映画に対しても、音楽に対しても、観客に対しても、実に純粋で、誠実な映画だった。父親もさることながら、主人公のチュンを演じたタン・ユンが実にいい。
 これには余計なコメントは不要だ。無条件に全ての人に見てほしい。


 『さらば、わが愛 / 覇王別姫』 のチェン・カイコーが、父子の熱い絆をつづった感動作。天才的なヴァイオリンの腕前を持ちながら田舎町で暮らす少年・チュン。なんとか息子をヴァイオリニストとして成功させるため、父・リウはチュンを連れて北京へと旅立つ。


映画データ
出演: タン・ユン, リウ・ペイチー, ワン・チーウェン, チェン・ホン
監督: チェン・カイコー(陳 凱歌)
販売元: ジェネオン エンタテインメント
時間: 117 分

監督 陳 凱歌について
生年月日: 1952年8月12日
生まれ: 中華人民共和国 北京市
書籍: King of the children、 花の生涯-梅蘭芳(メイランファン)

代表作

  • 花の生涯~梅蘭芳(メイ ラン ファン)~ (2008) 監督  
  • 北京ヴァイオリン (2002) 監督/出演/脚本 ユイ教授
  • キリング・ミー・ソフトリー (2001) 監督  
  • 始皇帝暗殺 (1998) 監督/脚本/製作/出演  
  • さらば、わが愛/覇王別姫(はおうべっき) (1993) 監督/製作
  • 黄色い大地 (1984)
ストーリー
 ヴァイオリンの才能ある息子を一流のヴァイオリニストとして成功させるために、貧しい父はお金をコツコツためて、息子と北京へ。
 そこで出会った人々との交流を通して、親子のきずなを描いたチェン・カイコー監督の感動作。



背景と見どころ
長江の下流に広がる穀倉地帯
(上海、無錫、揚州、南京、杭州、紹興、蘇州)
 主人公達が北京に出てくる前に住んでいた田舎町は多分江南の蘇州か紹興辺りの街だろうと思う。江南は北京に比べれば、田舎町ではあるが、昔から生活が豊かで、東北や北部のように異民族との抗争に明け暮れたところとは違い、落ち着いた街が並んでいる。











江南に関する詳しい説明は、
「中国百科検定」地理編の江蘇省、浙江省、安徽省 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年6月21日水曜日

文革を契機に大きく動き出す社会に翻弄される兄弟の物語「孔雀」孔雀の羽はいつ開く

孔雀

映画の紹介
 『さらば、わが愛 覇王別姫』などの名カメラマン、クー・チャンウェイが初監督を手掛けベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞した感動ドラマ。
 文化大革命の騒乱の状況とは違った意味で、大きく動き出した文革後の激動の中国を舞台に、地方都市で慎ましやかに暮らす家族が時代に翻弄されながら織り成す、愛と哀しみに満ちた人生模様を綴る。


映画データ
出演: チャン・チンチュー『セブンソード』、ファン・リー、 ルゥ・ユウライ
フォアン・メイイン、チャオ・イーウェイ
監督: クー・チャンウェイ (顧長衛)
字幕: 日本語


監督: 顧長衛について
中華人民共和国陝西省西安出身の映画監督、撮影監督。
生年月日: 1957年12月12日
生まれ: 中華人民共和国 西安市
配偶者: ジァン・ウェンリー (1993年から)
学歴: 北京電影学院
受賞歴: Golden Rooster Award for Best Cinematography
作品: 最愛
ストーリー
 落下傘部隊の将校に恋した姉、知的障害がある気のいい兄、小さな町を飛び出した気弱な弟―。
待ち望んでも開かない孔雀の羽の様に、皮肉な運命に家族は翻弄され、そしてまた寄り添っていくしかない。
の  1977年、文化大革命は終焉する。人々は手にしたことのない自由を持て余し、迷いながら、歩きはじめた。


背景と見どころ
 紅衛兵の脅威も漸く去り、凶暴で、息を詰めて暮らした人々の生活にも落ち着きが帰ってきた1977年。とある田舎の田園地帯に突然人民軍の落下傘部隊が飛び降りた。
 真っ青な空から白いくらげがゆらゆら降りてくる。そしてそこに降り立った兵士は、男性も女性もはつらつとして、下から見上げていた田舎の変哲もない女子学生にとっては、まばゆく見える天使のようであった。
そこに住む人々は一様に貧しく、誰もが生活にもがいていた。しかし、家族は一時は離れ離れになるが、だれもその泥沼の底に沈むことなく、かといって華々しく飛び立つこともなく、それなりの家庭を持ちこの地に戻ってくる。


さてこの映画の舞台となっている鶴陽市というのはどこになるのだろう。グーグルMAPで検索してみたら、該当見当たらずということで、このような市は結局架空のものということになる。この都市が重要ではないが、珍しい名前(私には思えた)なので、もう少し当たってみると、小学校の名前にあった。お遊びで一応あげてみる。
ここは浙江省楽清市にある。楽清市は台州、恩州市に接し、歴史は古い。温州しは、宋の時代には「温州商人」の出身地として知られたところである。





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よく分からん映画「2046」

2046

映画の紹介
DVD「2046」のポスター
主演のトニーレオンとコン・リー二人だけのために作ったような作品。
 観てどうにもよくわからなかった。分からなくてもいい作品なのかもしれない。作品の中のセリフにも出てくるが、時間と暇をつぶすだけの意味はある。時には主人公達と一緒にそのような時間をすごすのもいいのでは?


映画データ
出演: トニー・レオン, 木村拓哉, コン・リー, フェイ・ウォン, チャン・ツィイー
監督: ウォン・カーウァイ (王家衛)
字幕: 日本語

監督 ウォン・カーウァイについて
ウォン・カーウァイは、香港の映画監督、脚本家。
生年月日: 1958年7月17日 (58歳)
生まれ: 中華人民共和国 上海市
身長: 183 cm

    ウォン・カーウァイの作品
  • 1988年 いますぐ抱きしめたい 旺角卡門 (兼脚本)
  • 1990年 欲望の翼 阿飛正傳 (兼脚本)
  • 1994年 恋する惑星 重慶森林 (兼脚本)
  • 1994年 楽園の瑕 東邪西毒 (兼脚本)
  • 1995年 天使の涙 墮落天使 (兼脚本)
  • 1996年 wkw/tk/1996@/7'55"hk.net wkw/tk/1996@/7'55"hk.net (短編作品)
  • 1997年 ブエノスアイレス 春光乍洩 (兼脚本)
  • 2000年 花様年華 花様年華 (兼脚本)
  • 2004年 2046 2046 (兼脚本)
  • 2004年 愛の神、エロス「エロスの純愛〜若き仕立屋の恋」 Eros - The Hand (オムニバス、兼脚本)
  • 2007年 マイ・ブルーベリー・ナイツ My Blueberry Nights (兼脚本)
  • 2007年 それぞれのシネマ「君のために9千キロ旅をしてきた」 To Each His Own Cinema - I Traveled 9,000 Km to Give It to You (オムニバス、兼脚本)
  • 2008年 楽園の瑕 終極版 東邪西毒 終極版 (兼脚本)……『楽園の瑕』の別編集バージョン
  • 2013年 グランド・マスター 一代宗師 (兼脚本)
ストーリー
 ストーりーはない。ある小説家の男が描く近未来小説をベースには展開するが筋だったストーリーはない。アンドロイドと人間が“失われた愛”をもとめてミステリートレインに乗り込み、未知の場所「2046」を目指す様を描いた近未来ラブストーリー。主演のトニーレオンとコン・リーが如何にしっとりした情感が出せるか?二人だけのために作ったような作品。

背景と見どころ
トニーレオンは少しニヒルな不良っぽい気障な中年男の雰囲気は出ていた。



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2017年6月19日月曜日

中国映画:両親の死でバラバラになった兄弟が「再見! また会う日まで」

再見

映画の紹介

 文句なしに涙を流した。両親の不慮の死により離れて暮らすことになった兄妹4人。20年の時を経て再会を果たそうとするが…。ユイ・チョン監督が贈る感動物語。出演はジジ・リョン、ジャン・ウーほか。


映画データ
出演: ジジ・リョン, ジャン・ウー, シア・ユイ
監督: ユイ・チョン (兪鍾)

中国人監督・兪鍾(ユー・チョン)について

兪鍾(ユー・チョン)は北京電影学院出身の映画監督。彼の手がけたものに『我的父親(私の父親)』『我的兄弟姐妹(私の兄弟)』などがあり、家族の絆を描く作品で高い評価を受けている。
字幕: 日本語


ストーリー
 両親の死により、4人の子供たちが、色々の人に預けられ離れ離れに暮らすことになった。兄は幼い弟や妹達のため、必死になって養育先を探す。20年間はそれぞれが必死に生きたであろうことは、いちいち書くまでもない。

背景と見どころ
 4人もいれば一人ぐらい拗ねたのも出てきても不思議はないが、この映画のいいところは、そのような安易な問題提起を出さず、基本的には全員のしっかりした生き方を通して、社会の矛盾を告発していることではないだろうか。
 時代や感覚こそ違うかもしれないが、今こそ日本の子供や青少年全員に見て欲しい映画だ。

 この映画の舞台設定は、優れた才能を持ちながらも、文化大革命のさなかに云われなきそしりを受け、主人公とその家族5人が悲惨な生活を強いられる。

 文化大革命の中では、この主人公のような犠牲はまだ軽いほうで、現実には、文化大革命という「非文化革命」という激動の中で、暴力そのもので命を落とした、映画人は数知れない。

 「中国百科 文化芸術編」の「文化大革命と映画界」の中で、その辺りに詳しく触れられているので、以下参照願いたい。しかも残念なことに、「この文化大革命」の総括は、未だしっかりと為されたとは云えず、今尚その残渣に苦しんでいる人々がいる。

詳しい説明は 【文化大革命と映画界】 ☜ こちらをクリックしてください

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