google.com, pub-2132796719425109, DIRECT, f08c47fec0942fa0 心に残る中国映画セレクション100

2017年7月22日土曜日

日中戦争前夜の混乱期を生き抜く夫婦。ジャッキーチェンの両親がモデルの中国映画「三城記」

三城記

ジャッキーチェンの両親が国民党軍、日本軍、共産党ゲリラの三つ巴の戦いの混乱の続く地獄のような中国社会をいかに生き抜いたかを描いた中国映画「三城記」をお贈りします。
「三城記」の三城は安徽省、上海、香港と両親が戦乱を逃れて渡り歩いた都市を指します。


映画の紹介
 この映画を見ると平和の大切さを実感します。私はこの映画は反戦映画だと思います。
メガホンを執ったのは、「宋家の三姉妹」などで知られるメイベル・チャン監督。虐げられるものへのやさしい視線を感じる。


映画データ
出演者:ラウ・チンワン、タン・ウエイ
監督:メイベル・チャン(張婉婷)
収録時間:131分
原題:三城記

メイベル・チャンは、香港の映画監督。
生年月日: 1950年11月17日 

生まれ: 中華人民共和国 広東省
パートナー: アレックス・ロー (1986年から)
学歴: ニューヨーク大学 (1981年 - 1982年)、 香港大学
受賞歴: Hong Kong Film Award for Best Director、 Golden Rooster Award for Best Co-Produced Feature

作品
非法移民(1985年); 誰かがあなたを愛してる(1987年); 八両金(1989年); 宋家の三姉妹(1997年); 玻璃の城(1998年); 北京ロック(2000年); 失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン(2003年)
ストーリー
 ジャッキーチェンの父親は山東省に生まれ、安徽省、上海、香港へと流れていく。それも決して自分の意志ではなく、戦火から流れたり、家族を護るため。ダオロンが母親のユエロンをアヘンの取引で尋問した時、このご時勢多少のことは責められないといって釈放してしまう。
 それをきっかけとして二人は次第に係るようになり、やがて二人力合わせて、ひたすら「生」を求めて生き抜く。生易しいストーリーではなく、凄まじい展開だ。
 この二人に係ってくる廃品回収の青年が出てくるが、彼の姿がこの映画の中ではもう一つの「赤い糸」として鮮やかにストーりーを際立たせている。


背景と見どころ
 この映画のテーマは戦争の中で、苦しみながらも、逞しく行きぬく庶民の群像。日中戦争は間違いなく日本が仕掛けた全面戦争だ。
 映画の中では、国民政府がいろいろ狼藉を働く場面が出てくるが、この時代の上海は、日本、国民政府、共産党の抗日部隊が三つ巴の戦いを繰り広げていた。
 そのような背景があったからこそ、廃品回収の青年がダオロンの命を助けるために共産党のゲリラ部隊に援助を申し出て、大量の時計を譲り受け、金に換えるという話が生きてくる。そしてその青年は、恩返しとして、爆薬をトラックに積み込んで国民党軍の中に突っ込んでいく。
 考えさせられるシーンだ。




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2017年7月20日木曜日

伝説の武闘家イップマンをモデルにトニーレオン主演「グランドマスター」

グランドマスター

映画の紹介
日清戦争に敗れ、辛亥革命をへて、国の形も定まらぬ時に、日本の侵略を受け、満身創痍の中にあって、様々な思惑と欲望が渦巻く中国の中で格闘家たちはいかに時代に係っていったかを描くエンターテインメント超大作!

「人生には3つの段階がある。」とは、この映画のテーマであるイップマンの師匠が言った言葉だ。カンフー映画ではあるが、哲学的な映画だ。

  1. 己を知ること
  2. 世の中を知ること
  3. 人生を知ること
映画データ
出演: トニー・レオン, チャン・ツィイー, チャン・チェン, マックス・チャン, ソン・ヘギョ
監督: ウォン・カーウァイ
言語: 中国語
字幕: 日本語
ディスク枚数: 1
販売元: 松竹
発売日 2013/12/05
時間: 123 分


ストーリー
 世界を呑みこむ戦争の足音が、刻一刻と迫る1930年台の中国。北の八卦掌(はっけしょう)の宗師であるゴン・パオセンは引退を決意し、その地位と生涯をかけた武闘家の南北統一の使命を譲る後継者を探していた。

 物語は、この後継者の選別の場面から始まる。そして、その跡目争いに、日中戦争の勃発も絡み、舞台は香港の郊外広東省佛山から広州、さらに香港、北京、奉天へと広がる。
 候補は一番弟子のマーサンと南の詠春拳(えいしゅんけん)の宗師・葉問(イップマン)。パオセンの娘で、奥義六十四手をただ一人受け継ぐゴン・ルオメイに絞られる。
だが、日本軍と手を結び中国全土に覇権を広げようとするマーサンがパオセンを殺害。ルオメイはイップマンへの想いも、父の望みも捨て、仇討ちを誓う。
 ひたすらあだ討ちに突き進むルオメイと抗日ではあるが、政治活動に距離をおきカンフーの頂点を目指そうとするイップマンは結局別々の道に。一方、八極拳(はっきょくけん)を極め、一線天(カミソリ)と呼ばれる謎の男も、一匹狼として巷をさまよう。それぞれの格闘家の生き様はいかに?


    映画は、これら4人の格闘家の生き様にその時代の流れを乗せて進んでいく。
  1. ゴン・パオセン :清朝末にカンフーの頂点に立った男ではあるが、時代の移り変わりを見据え自らは身を引き、若き後継者に道を譲ろうとする。いわば古い時代の象徴。
  2. イップマン:混乱期にカンフーの宗師を任ずることになるが、政治的な動向から一線を画し、ひたすら格闘技に埋没する。しかし、民衆の立場には立ち続けようとする。
  3. マーサン:一度は宗師から後継者と指名されるものの、野望と野心から日本軍と手を結び、日本軍の手先に身を落としていく。最後はルオメイに敗れ、中国制覇も潰えていく。
  4. ルオメイ:父の直伝の技を極めるものの、あだ討ちのみを追求したために、その目的が果たされた後は、人生の目標を失い、アヘンに身をやつしていく。弱き大衆を体現している。
  5. 一線天(カミソリ): 確かな技を持つものの、その技を生かすことなく、一匹狼として時代に埋没してしまう。

背景と見どころ
武闘映画にありがちなワイアリングを多用した場面は余りなく、派手な立ち回りで見せ場を作るのではなく、むしろカンフーの技をできるだけ忠実に再現しようとしている。



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