中国百科映画館 「無言歌」
近代中国が犯した誤りは?残っているのは『人間不信』だけ!![]() |
「右派」のレッテルを貼られた人々が、 砂漠の労働改造所の中で人間性を そぎ落とされつつも上げる悲痛な生の叫び |
朝鮮戦争が終わって間もない中国で、「百花斉放・百家争鳴」(あわせて「双百」とも言う。)が唱えられた。呼びかけに応えた人々が辿った過酷な運命。予想外の反発に驚いた毛沢東は、発言者に「右派」のレッテルを貼り糾弾した(「反右派」闘争)。
この物語は、この「右派」のレッテルを貼られた人々が、甘粛省の砂漠の「収容所」の中で、虫けらのように命を落としていった物語である。
今回は中国国内では公開されない、近代中国の恥部を告発したドキュメンタリー映画をご紹介します。
とにかく今まで見た映画の中で、とりわけ衝撃的で、言い表しようのない想いでこれを書いています。
映画の紹介
この映画の舞台は、中国甘粛省の砂漠の中の夾辺溝というところの収容所である。
砂漠の中に掘られた穴倉の中に詰め込まれ、薄い粥だけが支給され、過酷な労働の中で、心身ともにぼろぼろになっていく。空腹のために、砂漠に生える草を食べ、ねずみを捕まえ食糧にする、死んだ仲間の肉をそぎ落として食べることまで密かに行われる。
そのような中でも、多くの人たちは、獣に成り下がることとなく、僅かに残った人間性を保っている。逆に、私は「人間ってすごいな」と思う。
映画は、そのような人々を、残酷なまでに描き出していく。決して面白可笑しい映画ではないが、時には見てほしいと思う。
映画データ
日本語題:『無言歌』(むごんか、原題:夹边沟、英語題The Ditch)
監督:王兵 2010年の香港・フランス・ベルギー合作の映画。
ストーリー
この映画にはストーリーはない。ストーリーが描けるような生易しいものではない。
背景と見どころ
1950年代後半、中国国内で社会の不満が噴出していたことに、指導者の危機感を高めた。
毛沢東は、人民内部の矛盾を解消するため、一種の「ガス抜き」の方策として「百花斉放・百家争鳴」(双百)を打ち出し、広く大衆の意見を求めた。 当時は、2000年も続いた、専制君主の支配からようやく抜け出し、辛亥革命を経て、内戦を経て、まだそれ程も経っていないじきである。国内には封建残渣が色濃く残り、ようやく統一国家として歩みだそうというときである。外部には資本主義国が手ぐすねを引いて、封じ込めを狙っている重要な時にあった。国家として一致団結をして進まねばならないときにあって、指導者としてセル気持ちは十分にわかる。 そこまではまだいい。結果的に人々をだましたことである。これによって、共産党に権威を地に落とし、言いようのない不信感を植え付けてしまった。やむを得ないといえばそういう側面もあるが、もう少し何とかならなかったか。ある種のもどかしさを感じる。中国の懐の深さはどこに行った?
この映画は、この「双百」に呼応して声を上げた知識人達の受難の物語である。
この映画の舞台は、中国甘粛省の砂漠の中の夾辺溝というところの収容所である。
砂漠の中に掘られた穴倉の中に詰め込まれ、薄い粥だけが支給され、過酷な労働の中で、心身ともにぼろぼろになっていく。空腹のために、砂漠に生える草を食べ、ねずみを捕まえ食糧にする、死んだ仲間の肉をそぎ落として食べることまで密かに行われる。
そのような中でも、多くの人たちは、獣に成り下がることとなく、僅かに残った人間性を保っている。逆に、私は「人間ってすごいな」と思う。
映画は、そのような人々を、残酷なまでに描き出していく。決して面白可笑しい映画ではないが、時には見てほしいと思う。
映画データ
日本語題:『無言歌』(むごんか、原題:夹边沟、英語題The Ditch)
監督:王兵 2010年の香港・フランス・ベルギー合作の映画。
ストーリー
この映画にはストーリーはない。ストーリーが描けるような生易しいものではない。
背景と見どころ
1950年代後半、中国国内で社会の不満が噴出していたことに、指導者の危機感を高めた。
毛沢東は、人民内部の矛盾を解消するため、一種の「ガス抜き」の方策として「百花斉放・百家争鳴」(双百)を打ち出し、広く大衆の意見を求めた。 当時は、2000年も続いた、専制君主の支配からようやく抜け出し、辛亥革命を経て、内戦を経て、まだそれ程も経っていないじきである。国内には封建残渣が色濃く残り、ようやく統一国家として歩みだそうというときである。外部には資本主義国が手ぐすねを引いて、封じ込めを狙っている重要な時にあった。国家として一致団結をして進まねばならないときにあって、指導者としてセル気持ちは十分にわかる。 そこまではまだいい。結果的に人々をだましたことである。これによって、共産党に権威を地に落とし、言いようのない不信感を植え付けてしまった。やむを得ないといえばそういう側面もあるが、もう少し何とかならなかったか。ある種のもどかしさを感じる。中国の懐の深さはどこに行った?
この映画は、この「双百」に呼応して声を上げた知識人達の受難の物語である。
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