google.com, pub-2132796719425109, DIRECT, f08c47fec0942fa0 心に残る中国映画セレクション100

2022年10月10日月曜日

墨攻:今を去る2500年前、専守防衛論を掲げ実戦を戦った軍師がいた

墨攻:今を去る2500年前、専守防衛論を掲げ実戦を戦った軍師がいた

墨攻:今を去る約2500年前、中国では春秋戦国時代に入り、各地の封建諸侯が入り乱れての覇権争いを繰り返していた。その群雄割拠の時代に非戦を唱え、専守防衛論を真正面に掲げ実戦で戦った墨家の実践的指導者を画いたものです。その戦いぶりは後の千早城の戦いにも受け継がれたと思わせる先駆的なものでした。
 時は今を去る約2500年前、中国では春秋戦国時代に入り、各地の封建諸侯が入り乱れての覇権争いを繰り返していた。

 やがてその中でも秦の始皇帝が全国を統一することになる。その理論的主柱は、法家という強権的な法治主義を唱えていた理論集団であったが、墨家とはその法家と対極をなす理想主義を掲げる理論集団であった。

 このことを頭に入れて、映画を鑑賞するといっそう面白くなる。

こんにちは! 中国の春秋戦国時代の墨家集団の活躍を著した中国映画「墨攻」の評論と歴史的背景をお届けします。群雄割拠の時代に非戦を唱え、専守防衛論を真正面に掲げ実戦で戦った墨家の実践的指導者を画いたものです。

映画の紹介
 戦乱の中国を舞台に、非攻(侵略戦争否定)を説いた”墨家”という理論集団の天才戦術家革離の活躍を、中国・日本・香港・韓国の合作で映画化した歴史アクション超大作。今香港で闘われている自由を自立を求める運動にも通じるものがあります。雨傘、マスクなど実に多彩な戦術を繰り出してきます。


映画データ
製作年:2006年
製作国:中国/日本/香港/韓国
原題:A BATTLE OF WITS

製作:ホアン・チェンシン 、 ワン・チョンレイ 、 ツイ・シウミン 、 リー・ジョーイック 、 井関惺
製作総指揮:ワン・チョンジュン 、 スティーヴン・ン 、 ホン・ボンチュル

出演:アンディ・ラウ 、 アン・ソンギ 、 ワン・チーウェン 、 ファン・ビンビン 、 ウー・チーロン 、 チェ・シウォン 、 ワン・チーウェン

監督:ジェイコブ・チャン


ストーリー
 紀元前370年頃の戦国時代、攻撃をせずに守り抜くことに徹した“非攻”を信念とする集団“墨家”がいた。

 その頃、大国・趙が送り込んだ10万の大軍を前に、全住民わずか4千人の梁城は落城寸前の危機に瀕していた。
 梁王は墨家に援軍を求めるが、やって来たのは粗末な身なりの革離ただ1人だった…。



背景と見どころ
 墨家は墨子に創設された理論軍事集団で当初は儒家と激しく対立し、相応の影響力を有したが、かなり限定された規模の組織を統制する方法を天下に敷衍しようとするもので、現実的に有効なものになり得なかった。その教えは兼愛・非攻という特殊な理論体系であった。しかし、陰謀や権謀術数の渦巻く春秋戦国時代にあって、このような理論戦闘集団が一時的にも、部分的にせよ現実に存在し、活躍することがあったということは見所といえよう。「墨守」という言葉が残るように、墨家は現実ではこの映画に見るように、防御戦に関する豊富な経験や知識をもっており、その戦いぶりもめざましいものであった。これらの闘い方は、後の日本の楠正成や真田幸村などにも踏襲されたのではないかと思われる。

後書き
 ネットで見かけた映画評論に、主人公の革離と将軍の娘扮するファンビンビンのラブシーンがストーリーの邪魔になっているという批評がなされていたが、私の見る限り、二人のラブシーンなどどこにも見当たらない。逆にもっと色香を魅せるほうがよかったのではと思っているくらいだ。
 このような評論は、映画の本質を貶めるもので、少し残念だ。あの殺伐とした戦場で、まだ美しさを放っているファンビンビンが扮するゲリラは美しい。


春秋戦国時代に関する、
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2022年3月30日水曜日

番外編「ニコライとアレクサンドラ」・・繰り返されるロシアの歴史:プーチンとラスプーチン

番外編 映画:「ニコライとアレクサンドラ」
繰り返されるロシアの悲劇100年前の皇帝に代って独裁者の再来

今から約百年前まで、ロシアは皇帝ニコライが専制政治を敷いていました。そして今、プーチンによる独裁政治がひかれています。民族解放を標榜し、帝政を倒し国民が主人公てとなる民主主義のために闘ったロシアは今どこに行ったのでしょう。

原題:「The Royal Family」をご紹介します。
これは中国映画ではありませんが、今進行しているロシアのウクライナ侵攻を判断する材料として、この映画を取り上げてみたいと思います。
 2022年の現在ロシアのウクライナ侵攻が、 世界中の大きな非難を巻き起こしております。 しかしながらロシアのプーチンはこの非難に怯むことなくウクライナ屈服させようと大量殺戮の手段まで訴えています。

 この映画は、ちょうど100年前に、ロシアはロシア革命が勃発し、その時までにロシアを支配していた倒れ行く、ロマノフ王朝を舞台にしています。

 この映画の主人公はロシアの最後の皇帝ニコライとその妻のアレクサンドラです。実はこの映画の主人公はもう一人いるのです。それはラスプーチンという人です。この人は実在した人物ですが、すでに末期的症状を見せていた、王朝の中に巣食い、皇后アレクサンドラの寵愛を受け、ロシア革命の前夜にロシアの帝政の政治を大きく混乱させた人物です。

 ラスプーチンの暗躍のために、国内政治が滞っている状態は、100年後の現在プーチンの独裁のために国内の行政機能が麻痺している状況と似通っていると考えられます。

 したがって、ロシアの正常なる判断が失われ、ウクライナに一方的に侵略することになったと考えられますが、プーチンを突き動かしたものはなんだったろう。それはプーチンに聞いてみないとわからないと大概の人は言うでしょうが、しかし私はプーチンの個人的な動きあるいは考え方興味ありません。
 それよりもプーチンを取り巻く環境、ロシアの歴史及びロシアの経済的政治的地理的に置かれた環境などプーチンがどのように育てられたか知ることがもっと大事なことではないだろうか。

  個人が歴史の中で果たす役割は、歴史の一瞬一瞬では大きなものであるかもしれません。しかし歴史を大きな流れの中で捉えた場合に、個人の果たす役割はその一瞬に過ぎないわけで、偶然性の中に必然性が貫徹されているはずです。私たちがある事柄を見るときに、忘れてはならないのは「史的唯物論的に、科学的に」見るという態度に徹することだと思います。


映画の紹介
 この映画は、1972年アメリカで封切られたもののようです。アメリカの映画であるからには、当時のアメリカで支配的であった考え方からは払拭できていないと考えるべきでしょう。(もちろんそれを凌駕した真にに素晴らしい映画もあったでしょうが・・) それを頭に置いた上で評価しなければなりません。

映画データ
製作: Columbia Pictures
原題: Royal Family
邦題: ニコライとアレクサンドラ
監督: Franklin Schaffner
出演: Michael Jayston, Janet Suzman, Roderic Noble


ストーリー
 1904年。ロシア皇帝ニコライと皇后アレクサンドラとの間に、皇太子アレクセイが誕生した。しかし、アレクセイが血友病にかかっていることが分かり、怪僧ラスプーチンの不思議な力で危機が一時的に回避された。それを機にアレクサンドラは彼を寵愛するようになるが、ラスプーチンは次第に皇帝までをも操り出す。これが王室の悲劇の始まりとなり、ロシア帝国の未来に暗雲が立ち込める…。

 皇帝とはいえ、個人の判断を国家としての判断の上に置いた悲劇であるともいえよう。



背景と見どころ
 この映画は、皇帝ニコライが、ラスプーチンに篭絡された皇后に拘泥することにより、現実を見ることではなく、かつての力のあった王朝の栄光の復活の実を夢見て、次第に孤立し、問題を先送りし、ずるずると成り行きに引きずられていく過程をしっかりと見ることが肝要です。そのうえで、今日のロシアに視点を移してみると、この大ロシア帝政の時代のロシアの再来を夢見た権力者がかつてのソ連の時代の力による栄光の復活を夢見て、やはり現実を見ることなく、孤立していく様がダブって見えることである。


詳しい説明は 【ニコライとアレクサンドラ】 ☜ こちらをクリックしてください
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