google.com, pub-2132796719425109, DIRECT, f08c47fec0942fa0 心に残る中国映画セレクション100

2017年7月24日月曜日

母と子の愛情を切々と描きあげた「山河ノスタルジー」

山河ノスタルジー

この映画の原題は「山河故人」
 時代を越えて変わらないもの―母が子を想う気持ち。それでも変わり行く眼前の風景や周りの人々。自分は誰だろうと思ってしまうのは中国人も日本人も同じ。原題の方が日本語題よりずっとぴったり来る。


映画の紹介
 なにもかも急激に変貌を遂げる中国。その中で人々の心もまた変わっていった。離れ暮らす母と子。母はひとり故郷で、異国の地の子供を思い続ける。
息子は心のどこかで、母の面影を探している。
母と子の強い愛は陰線、出会う人との愛は陽線。変わりゆくこの世界を陰線と陽線が織りなす。変わらぬ想い。



映画データ
原題: 山河故人
出演: チャオ・タオ, チャン・イー, リャン・ジンドン, ドン・ズージェン, シルヴィア・チャン
監督: ジャ・ジャンクー
形式: Color, Dolby 言語: 中国語
字幕: 日本語
リージョンコード: リージョン2 (このDVDは、他の国では再生できない可能性があります。詳細についてはこちらをご覧ください DVDの仕様。)
販売元: バンダイビジュアル
発売日 2017/01/06
時間: 127 分


ストーリー
 1999年、山西省・汾陽(フェンヤン)。 小学校教師のタオは、炭鉱で働くリャンズーと実業家のジンシェンの、幼なじみの二人から想いを寄せられていた。 やがてタオはジンシェンからのプロポーズを受けいれ、息子・ダオラーを授かる。
 2014年。タオはジンシェンと離婚し、一人汾陽で暮らしていた。ある日タオは急死した父の葬儀を機にダオラーを引き取ろうとする。しかし余りに長い時間は、もはや母と子の関係を維持できなくなっていた。
 そして、二人はまた離れ離れに。時は流れ、2025年、オーストラリア。
 19歳になったダオラーは長い海外生活で中国語が話せなくなっていた。父と子の会話も通訳が必要に。
父親と確執がうまれ、自らのアイデンティティを追い求める中、中国語教師ミアとの出会いを機にミアの中に母の陰線を見出し、ミアと結ばれる。ダオラーはかすかに記憶する母親の面影を探しはじめる。


背景と見どころ
左の地図の赤線で囲ったところが山西省・汾陽である。この映画の舞台は、田舎も田舎。開発に取り残された街である。
 この街から西南西300Kmのところに延安がある。延安は中国共産党が国民政府に追われ、行き着いた先である。これは長征として歴史でも名高い事件である。
 もう少し説明するとこの街から北東約150Kmのところに、山西省省都の太原がある。この地方は石炭の産出地であり、良質の石炭が産出される。(大同炭鉱)。この映画にも出てくるような炭鉱は、民間の小規模炭鉱が多く、杜撰な管理体制が問題となっている。
 もう少し北に行くと大同があり、「雲崗石窟」で世界遺産になっている。





大同の「雲崗石窟」の詳しい説明は 【三大石窟】 ☜ こちらをクリックしてください
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2017年7月22日土曜日

日中戦争前夜の混乱期を生き抜く夫婦。ジャッキーチェンの両親がモデルの中国映画「三城記」

三城記

ジャッキーチェンの両親が国民党軍、日本軍、共産党ゲリラの三つ巴の戦いの混乱の続く地獄のような中国社会をいかに生き抜いたかを描いた中国映画「三城記」をお贈りします。
「三城記」の三城は安徽省、上海、香港と両親が戦乱を逃れて渡り歩いた都市を指します。


映画の紹介
 この映画を見ると平和の大切さを実感します。私はこの映画は反戦映画だと思います。
メガホンを執ったのは、「宋家の三姉妹」などで知られるメイベル・チャン監督。虐げられるものへのやさしい視線を感じる。


映画データ
出演者:ラウ・チンワン、タン・ウエイ
監督:メイベル・チャン(張婉婷)
収録時間:131分
原題:三城記

メイベル・チャンは、香港の映画監督。
生年月日: 1950年11月17日 

生まれ: 中華人民共和国 広東省
パートナー: アレックス・ロー (1986年から)
学歴: ニューヨーク大学 (1981年 - 1982年)、 香港大学
受賞歴: Hong Kong Film Award for Best Director、 Golden Rooster Award for Best Co-Produced Feature

作品
非法移民(1985年); 誰かがあなたを愛してる(1987年); 八両金(1989年); 宋家の三姉妹(1997年); 玻璃の城(1998年); 北京ロック(2000年); 失われた龍の系譜 トレース・オブ・ア・ドラゴン(2003年)
ストーリー
 ジャッキーチェンの父親は山東省に生まれ、安徽省、上海、香港へと流れていく。それも決して自分の意志ではなく、戦火から流れたり、家族を護るため。ダオロンが母親のユエロンをアヘンの取引で尋問した時、このご時勢多少のことは責められないといって釈放してしまう。
 それをきっかけとして二人は次第に係るようになり、やがて二人力合わせて、ひたすら「生」を求めて生き抜く。生易しいストーリーではなく、凄まじい展開だ。
 この二人に係ってくる廃品回収の青年が出てくるが、彼の姿がこの映画の中ではもう一つの「赤い糸」として鮮やかにストーりーを際立たせている。


背景と見どころ
 この映画のテーマは戦争の中で、苦しみながらも、逞しく行きぬく庶民の群像。日中戦争は間違いなく日本が仕掛けた全面戦争だ。
 映画の中では、国民政府がいろいろ狼藉を働く場面が出てくるが、この時代の上海は、日本、国民政府、共産党の抗日部隊が三つ巴の戦いを繰り広げていた。
 そのような背景があったからこそ、廃品回収の青年がダオロンの命を助けるために共産党のゲリラ部隊に援助を申し出て、大量の時計を譲り受け、金に換えるという話が生きてくる。そしてその青年は、恩返しとして、爆薬をトラックに積み込んで国民党軍の中に突っ込んでいく。
 考えさせられるシーンだ。




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