google.com, pub-2132796719425109, DIRECT, f08c47fec0942fa0 心に残る中国映画セレクション100

2018年4月3日火曜日

中国映画「唐山大地震」:監督 フォン・シャオガン 大災害の前に人間は人間でいられるのか

中国映画のDVD「唐山大地震」を観ました。文句なしの感動です。


映画データ
出演: シュイ・ファン, チャン・チンチュー, リー・チェン, チェン・ダオミン
監督: フォン・シャオガン(馮小剛)
販売元: 松竹
発売日 2015/08/05
時間: 135 分

ストーリー

 1976年7月28日、文化大革命の嵐もようやく収まり、世の中が平穏を取り戻しつつある時に事件は起こる。

 唐山市を未曽有の大地震が襲った。突然、金魚鉢の魚が暴れて外に飛び出すような異変が起きるとすぐに、夜空が強く光ったと思うと、大音響と共に激震が走る。この世の全てのものを叩き潰すような激しい揺れ。

 倒壊する建物の中で夫を失った母は、狂乱のようになっている時、双子の姉弟が瓦礫の下にいるという知らせに現場に赴く。

 そして、同時にどちらか一人しか助けられないというあまりにむごい選択を迫られる。苦渋の中で「息子を・・・」と泣き崩れる母親。だが、その苦渋に満ちた声に瓦礫の下の姉は深い絶望と悲しみに涙を流していた。

 息子は腕を切断しながらも命をとりとめ、娘は死体置き場に放置される。

 時は流れ、母親は家族を失った喪失感と娘を見殺しにしてしまった罪悪感に苛まれながら、残された息子を女手ひとつで必死で育てていた。そして娘も奇跡的に命を取り留め、養父母の元で成長していた。

 そして、32年の歳月を経て、離れ離れの母子の運命が大きく動き出す。今度は四川省で大地震が勃発し、上海とカナダで全く別々にその実況に接した兄弟は、吸い寄せられるように、救援に四川省に向かう。


映画の見どころ
 この映画は自然現象に翻弄される人々、あまりにむごい決断をせざるを得なかった母親、見捨てられた娘、姉の代わりに助けられたという負い目を背負わされた弟、そして姉を引き取り実の娘のように育て上げた養父母、それぞれが抱える悩みや苦しみをじっくりと聴衆に訴えかける。

 自分の生き様に容赦なく自省を迫ってくる。「お前は、どうなんだ。お前の生き方はそれでいいのか」と。

 これらは、後付のたら話といわれるかも知れないが、それでもなお・・・。  

致命的な状態に陥ると陥らない状況の間にはそんなに大きな差はないと感じる。ほんの僅かな差が生死を分ける。「災害に見舞われたとき、最初の一撃を受けないように最大限の注意を払うようにするべきだ」ということが身に染みて感じさせられる。
 同時に人間は、究極の災難に見舞われたときに、わが身を忘れて助け合うものなのだということに確信が持てて、人間て捨てたものではないと思っている。
 命さえあれば、道は開けるものなのだと思う。

映画の背景
 この映画が撮られたのは冒頭にも触れたように、文化大革命が終息した後に作られている。もし、これが文化大革命中に起こっていたとしたら、どのような結果を引き起こすであろう。考えるとある意味ぞっとする話だ。どんなときにも人間がベースにないとだめだと改めて感じた。

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2018年2月22日木曜日

中国映画「さらばわが愛 覇王別姫」:この映画を見ずして中国を語ること勿れ!!

「さらばわが愛 覇王別姫」

こんにちは! 中国映画『さらばわが愛 覇王別姫』を見ずして中国を語ること勿れ!!
 無条件にすごい映画です。この映画『さらばわが愛 覇王別姫』を見ずして、中国映画を見たことにはならない。中国社会の矛盾を真正面に据え、重厚に且つ芸術的に人々に訴えかけてくる映画です。また、この映画『さらばわが愛 覇王別姫』は、レスリーチャンなくしては作り得なかった映画ということができると思う。

映画の紹介
 この映画『さらばわが愛 覇王別姫』は、辛亥革命の後、清朝が倒れ、人々の生活が安定さを失っていく頃から、国民政府によ中華民国が成立し、日本の侵略、そして国民政府に変わって、共産党政権が樹立する。文化大革命が終了し、京劇が復活されるまでの約半世紀に亘る、二人の京劇の役者の苦闘の物語である。梅蘭芳という京劇の名優をモデルに、京劇俳優の目を通して、生活のため、人々の文化的な営みが脇に押しやられる様を描き出していく。

映画データ
監督:陳凱歌
キャスト: 張國榮(レスリーチャン)、張豊毅、鞏俐


ストーリー
 清朝の末期、人々の生活は、困窮の度を極め、町には浮浪者や乞食があふれていた。別々であるが、二人の少年が親に捨てられるようにして、京劇の一座に預けられる。一座の親方の厳しいしごきに堪え二人は京劇俳優の程蝶衣と段小樓として名を成す。女形の蝶衣は段小樓を愛していたが、彼は娼婦と結婚してしまう。そして映画『さらばわが愛 覇王別姫』は時代の波に飲まれながらも、愛と演劇を貫く男たちの苦闘がつづられる。


背景と見どころ
 この映画『さらばわが愛 覇王別姫』は、辛亥革命から、国民政府、日本の侵略、新中国の誕生、文化大革命という歴史の激動を通して社会が大きく変わっていく様が丁寧に描かれている。小樓と蝶衣の間に菊仙という女性の三人のドロドロとした愛憎劇もまた見所。純粋に京劇の美しさを楽しむことが出来る。そして蝶衣を演じるレスリー・チャンの妖艶な美しさも最大の見所の一つではないだろうか。



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